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JACC誌から
高感度トロポニンT+CHA2DS2VAScスコアで予後予測能が向上
ARISTOTLE試験のサブスタディの結果

2013/10/18
西村 多寿子=医療ライター

 アピキサバンの脳卒中予防効果をワルファリンと比較検討したARISTOTLE試験のサブスタディで、高感度トロポニンT(hs-TnT)の予後予測能を検討したところ、心房細動患者ではhs-TNTの上昇が見られることが多く、CHA2DS2VAScスコアにhs-TnTを加えることで、リスク層別化の精度向上が認められた。この結果は、JACC誌の10月2日オンライン版に掲載された。

 抗凝固薬治療中の心房細動患者におけるリスク評価を向上させるバイオマーカーとして、トロポニンやNT-proBNPが注目されている。hs-TnT濃度を利用した評価は、胸痛や急性冠症候群患者の予後予測を向上させるだけでなく、うっ血性心不全や動脈硬化症をはじめ、一見健常な高齢者の予後予測指標としても期待されている。

 そこで本研究は、ARISTOTLE(Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation)試験で血漿サンプルを入手した1万4897例の患者データを利用して、ベースライン時のhs-TnT濃度と臨床アウトカムの関係を検討した。さらに、CHA2DS2VAScスコアにhs-TnTを加えた場合の予後予測能を評価した。

 主要評価項目は、脳卒中または全身性塞栓症、総死亡(出血とその他の非心臓性の原因による死亡を除く)、ISTH基準による大出血とした。CHA2DS2VAScスコアによる分類は、極めて低リスク(0-1点)、低リスク(2点)、中リスク(3点)、リスク上昇(4点)、高リスク(5点以上)とした。

 hs-TnT濃度は、サンドイッチ法でCobas Analytics e601イムノアナライザー(Roche Diagnostics、ドイツ)を使って測定した。hs-TnTと各評価項目の関係は、Cox比例ハザードモデルを用いて分析した。

 脳卒中リスクを1つ以上有する心房細動患者の99.4%でhs-TnTは測定可能だった。平均値は14.5ng/L、中央値は11.0(第1四分位:7.5、第3四分位:16.7)ng/Lだった。

 CHADS2とCHA2DS2VAScスコアを構成するリスク因子は、hs-TnT高値の患者においても高頻度で認められた。hs-TnT高値群(16.7ng/L超)でCHA2DS2VAScスコアが2点を上回る患者は83.6%だったが、hs-TnT低値群(7.5 ng/L以下)で同スコアが2点を上回る患者は、54.7%に留まった。

 追跡期間1.9年で、脳卒中または全身性塞栓症の年間発生率は、hs-TnT低値群で0.87%、高値群で2.13%だった(補正ハザード比[HR]:1.94、95%信頼区間[CI]:1.35‐2.78、P=0.0010。図1)。

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