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N Engl J Med誌から
人工心臓弁置換術後の患者、ダビガトラン投与群でイベントが増加

2013/09/19
西村 多寿子=医療ライター

 人工心臓弁置換術後の患者を対象に、血栓塞栓予防を目的としたダビガトランの用量を検討するランダム化比較試験のRE-ALIGN試験において、ダビガトラン群の血栓塞栓性および出血性イベントの発生が、ワルファリン群より増加傾向にあったことを理由に、試験は早期中止となった。イベントの多くは、手術から7日以内に投与開始した集団で発生した。結果の詳細は、N Engl J Med誌 9月1日オンライン版で発表された。

 RE-ALIGN試験は、2011年11月に登録を開始し、10カ国 39施設で実施された。前向き・第2相・オープンラベルで評価項目判定を盲検化した試験デザインだった。RE-LY試験にて心房細動患者へのダビガトラン投与の有効性が認められ、動物実験の結果も有望であったことから、機械弁患者の血栓塞栓予防を目的とした用量設定を行った。

 対象は18~75歳で、次に示す2つの集団(AあるいはB)のいずれかにあてはまる患者とした。集団Aは大動脈弁または僧帽弁置換術もしくは両方を近日中に実施予定であること、集団Bは僧帽弁置換術(大動脈弁置換術の有無にかかわらず)を受けてからランダム化まで3カ月以上経過していることとした。

 それぞれの集団で、患者を2:1の割合で、ダビガトラン群とワルファリン群に割り付けた。ダビガトランの初回投与量(150、220、300mg 1日2回)は、各患者の腎機能によって決定した。ワルファリンは、血栓塞栓リスクに基づいて、INR2~3もしくは2.5~3.5を維持するように調整した。

 主要評価項目は、ダビガトランのトラフ(底値)血中濃度とし、RE-LY試験等の結果を参考に、血栓予防に適するのは50ng/mL以上とした。有効性と安全性の解析は、Cox比例ハザードモデルを用い、初回の血栓塞栓性イベントや出血性イベントについて、イベント未発症生存率を算出した。

 本試験は、安全性データの検討の結果、252例の登録後に早期中止となった。データ安全性モニタリング委員会は、ダビガトラン群でのイベント過多を理由に、集団Aの中止勧告を2012年10月11日、集団Bの中止勧告を同年11月28日に行った。

 患者252例(平均年齢56歳、男性比率65%)の割り付けは、ダビガトラン群168例、ワルファリン群84例で、全体の79%(199例)が集団Aに属した。手術部位は、大動脈弁68%(172例)、僧帽弁28%(71例)、両方が4%(9例)だった。

 集団Aにおけるダビガトランの投与開始は術後6日目(中央値)で、平均治療期間は143日。ワルファリン投与開始の中央値は術後5日目で、平均治療期間は152日だった。集団Bの平均治療期間は、それぞれ136日と143日だった。

 ダビガトラン群において、血漿レベルが目標値(50ng/mL)を超えた時間の割合は、患者全体で86%(集団A:84%、集団B:96%)だった。投与開始から4週間の血漿レベルは、集団A(幾何平均:98ng/ml)の方が集団B(幾何平均:125 ng/ml)より低かった。用量変更や投与中止となった患者は32%(162例中52例)だった。

 試験の結果、ダビガトラン群では、脳卒中が9例(5%)、心筋梗塞3例(2%)発生したが、ワルファリン群での発生はなかった。死亡は、ダビガトラン群で1例(<1%)、ワルファリン群で2例(2%)だった。

 脳卒中、一過性虚血発作、全身塞栓症、脳梗塞、死亡の複合(初回の血栓塞栓性イベント)は、ダビガトラン群15例(9%)、ワルファリン群4例(5%)だった(ハザード比[HR]:1.94、95%信頼区間[95%CI]:0.64-5.86、P=0.24。図1)。

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