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Clinical Cardiol誌から
心不全患者の予後予測にBNPと胸部インピーダンスの併用が有益
心不全外来の初回評価で高リスク者を特定

2013/03/15
西村 多寿子=医療ライター

 心不全外来を受診した慢性心不全患者を4年間追跡したところ、初診時に測定した脳性ナトリウム利尿ペプチドBNP)と胸部インピーダンスが、予後の層別化に有用であることが示唆された。この結果はClinical Cardiol誌の2月号(Clin. Cardiol. 36, 2, 103–109 2013)に掲載された。

 慢性心不全の臨床評価において、肺うっ血はしばしば見落とされ、十分な治療が行われないことがあるが、外来での観察を強化して早期介入すれば、再入院の減少が期待できる。先行研究では、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)や胸壁の電気抵抗を計測することで、うっ血の徴候や流入の圧力異常を検知できる可能性があることが示唆されている。

 そこで本研究では、慢性の収縮期心不全患者を対象に、外来での検査を組み合わせて、閾値を設定することで、高リスクの患者を特定し、予後を層別化できるかを検討した。

 対象は、2007年1月~2010年6月の間、イタリア・ミラノSt.Luke病院の心不全外来を受診した連続症例とした。初診時に、各種臨床検査に加え、心電図、心エコー検査、BNP、胸部インピーダンスによる胸部体液容量(TFC:thoracic fluid content、単位:1/kΩ)を測定した。

 患者142例の平均年齢は69歳で、女性比率は34%だった。虚血性心疾患76%、ICDあるいは心臓再同期療法(CRT/CRT-D)43%、NYHAクラスIが19%、クラスIIが33%、クラスIIIが40%、クラスIVが8%だった。初診時の左室駆出率は30.6±6.1%、eGFRは55.6±6.5mL/分、BNPは420.5±346.2pg/mL、TFCは39.2±8.41/kΩだった。

 平均追跡期間は38カ月(範囲12~52カ月)で、死亡率は1年時4.9%(7例)、4年時 21.2%(30例)だった。死亡患者と生存患者を分けて単変量解析を行ったところ、死亡患者は生存患者と比較して、ヘモグロビンが低い、腎機能悪化、肺静脈圧が高い、拡張機能悪化、血流制限がある、といった傾向が認められた。

 ただし、多変量解析後に有意だった変数は、BNP、TFC、僧帽弁逆流の重症度(FMRグレード3と4)のみだった。

 ROC曲線を用いた分析では、「BNP 450pg/mL以上」と「TFC 40/kΩ以上」が、患者死亡の最も強力な予測因子であることが分かった。1年時の死亡について、これら2つの因子によるAUC(ROC曲線下面積)は0.77(図1)、感度89%、特異度86%、陽性予測値(PPV)88%、陰性予測値(NPV)92%だった。4年時の死亡についても予測能は高かった。

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