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J Am Coll Cardiol誌から
臨床試験の登録者数が多い施設ほど転帰は良好
心不全患者を対象としたランダム化試験の事後解析結果

2013/01/09
岡本 絵理=メディカルライター

 臨床試験登録者数が多い施設と少ない施設との間には、ベースライン特性や試験完了状況、転帰に差があり、登録者数が多い施設ほど転帰が良好であることが、ランダム化試験の事後解析で示された。結果は2012年12月12日付のJ Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 最近の臨床試験では、必要な参加者数を確保するため、数百に及ぶ施設で参加者を募ることが多くなっている。選択・除外基準が厳格に定められているため、参加者は臨床的に均一であると推定されるが、もし施設当たりの登録者数によって転帰が左右されるとすれば、試験のデザインや実施に関連する問題となり得る。

 そこで米国の研究者らは、心不全患者の標準治療にトルバプタンを追加した場合の有効性および安全性を評価したランダム化試験、EVEREST(Efficacy of Vasopressin Antagonism in Heart Failure: Outcome Study with Tolvaptan)試験のデータを事後解析し、施設の登録者数の影響について調べた。

 EVERESTでは、2003年10月7日から2006年2月3日までの期間に、20カ国359施設から4133人の患者が参加した。対象は、水分過負荷の徴候・症状が2つ以上あり、左室駆出率が40%以下で、心不全悪化のため入院した18歳以上の患者。入院から48時間以内に、トルバプタン群またはプラセボ群にランダム化された。

 今回の解析では、1施設当たりの登録者数が1~10人、11~30人、30人超という3群に参加者を分類し、転帰を比較した。

 一次アウトカムは、心血管死亡または心不全による入院の複合アウトカムとした。Cox比例ハザードモデルを用いて、登録者数が30人以上の施設の参加者と比較したハザード比(HR)および95%信頼区間(95%CI)を算出した。

 1施設当たりの登録者数は0~75人の範囲だった(中央値:6人)。参加した全436施設のうち、77施設では登録者がなかった。登録者数が1~10人、11~30人、30人超の施設数とその合計参加者数は、それぞれ224施設(62%)で1052人(26%)、105施設(29%)で1792人(43%)、30施設(9%)で1289人(31%)だった。

 参加者の特性を見ると、登録者数が1~10人の施設では、登録者数が30人超の施設と比べ、参加者が高齢であり、男性が多く、左室駆出率および収縮期圧が低く、QRS時間が長い傾向があった。また、糖尿病、慢性腎疾患、慢性肺疾患、虚血性心疾患の合併例が多く、冠動脈血行再建手技の実施率が高かった。使用薬剤については、ACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、アルドステロン拮抗薬を投与されている割合が低かった。

 追跡期間の中央値は9.9カ月で、この間に参加者1700人(41%)にアウトカムが発生した。

 試験完了者は4133人中2467人(59.7%)だった。早期脱落者は、死亡による脱落が761人(18.4%)、有害事象による脱落が252人(6.1%)、その他が653人(15.8%)だった。試験完了率は、登録者数が10例未満の施設が45.5%、11~30人の施設が61.7%、30例人の施設が68.4%であり、登録者数が多いほど高かった(P<0.001)。

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