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N Engl J Med誌から
CETP阻害薬ダルセトラピブで急性冠症候群の予後改善せず
HDL-C値は有意に上昇するも複合心血管イベントは減らず、dal-OUTCOMES試験

2012/12/14
西村 多寿子=医療ライター

 コレステリルエステル転送蛋白CETP)阻害薬ダルセトラピブの投与により、急性冠症候群ACS)の発症後間もない患者の心血管イベント再発リスクが低下するか検討したところ、高比重リポ蛋白コレステロールHDL-C)値の有意な上昇を認めたものの、イベントは減少せず、試験は2年余りで中止された。この結果は、N Engl J Med誌11月29日号に掲載された。

 観察研究では、HDL-Cの高値は冠動脈疾患イベントリスクの低下と関連することが示されている。しかし、治療によって HDL-C値を上昇させることで、心血管リスクが低下するかどうかは不明である。

 初のCETP阻害薬であるトルセトラピブは、HDL-C値の70%を超える上昇とLDLコレステロールの25%低下が認められたが、同時にアルドステロンと血圧上昇に関連した罹患率と死亡率の増加が認められた。

 一方、ダルセトラピブの第2相試験では、HDL-C値は約30%増加したが、LDL-C値、血圧、神経ホルモンに変化はなかった。そこで、今回のdal-OUTCOMESと名付けられた第3相試験では、ACS発症後間もない患者を対象に、同薬の有効性と安全性を検討した。

 本試験は、2008年4月~10年7月に27カ国935施設で実施された。対象は、45歳以上で、ACSによる入院から間もない患者(イベント発生から4~12週)とし、(1)心臓バイオマーカーの異常値、(2)心筋虚血症状、(3)新規の心電図異常、(4)生存心筋喪失の画像所見──のうち1つ以上を認める場合とした。

 対象患者を、エビデンスに基づく最善のケアに加えて、ダルセトラピブ600mg/日を投与する群もしくはプラセボを投与する群の2群にランダムに割り付けた。有効性の主要評価項目は、冠動脈疾患による死亡、非致死的心筋梗塞、脳梗塞、不安定狭心症、心停止後の蘇生の複合とした。

 当初の計画では、90%の検出力で、ダルセトラピブ群の相対リスク15%低下を検出するため、主要評価項目については1600件のイベント発生を見込んだが、事前に規定された中間解析時点で発生したイベント総数は1135件(計画の71%)だった。

 独立データ・安全性モニタリング委員会は、中間解析を検討した結果、無益性のため試験中止を勧告し、スポンサーと治験運営委員会はこれを受け入れた。追跡期間の中央値は31カ月で、投与期間中は全患者の89%が治療レジメンを80%遵守した。
 

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