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J Am Coll Cardiol誌から
BNPの長期皮下注射により左室リモデリングが改善
米国で行われた概念実証試験の結果

2012/11/16
岡本絵理=メディカルライター

 B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を心不全患者に長期皮下投与した臨床試験で、左室リモデリングの改善が認められた。結果は10月31日付のJ Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 BNPは主に心筋細胞で産生され、心臓や腎臓の恒常性維持に重要な役割を果たしている。メイヨークリニックの研究者らは、実験的心不全でBNPの皮下投与により心拍出量が改善することを先に報告しており、今回の研究ではACC/AHAステージCの心不全患者にBNPを長期皮下投与した場合の安全性と有効性について調べた。

 対象はNYHA機能分類がII~III、駆出率が35%未満の、状態が安定している18歳以上の心不全患者。2003年5月から2008年5月まで被験者を募集した。

 ベースラインデータ収集後、被験者45例を二重盲験法でBNP皮下投与群(24例、1日2回10μg/kg)、プラセボ皮下投与群(21例)のいずれかにランダム化した。被験者に正しい投与方法を指示した後、1回目の皮下投与を実施。12時間後、2回目の皮下投与を患者による自己注射で実施した。さらに12時間後に、監督下で自己注射により3回目の投与を実施し、その後被験者に1日2回8週間分の薬剤を支給した。

 BNP群の3例はベースライン来院時に症候性低血圧が発現したため、プロトコルに従い解析から除外した。さらに、BNP群の1例は個人的理由で同意を撤回し、プラセボ群の1例は投与中に心不全が悪化したため試験から脱落した。最終的に解析対象となったのは、BNP群20例、プラセボ群20例だった。

 1次アウトカムは心臓MRIで判定した左室容積および左室心筋重量とした。2次アウトカムはドップラ超音波検査による左室充満圧、液性機能、腎機能とした。

 高血圧歴のある人がプラセボ群に多かった点を除き、両群の人口統計学的特性および臨床特性は類似していた。

 8週間の投与後、BNP群の左室収縮末期容積係数の低下率はプラセボ群より有意に大きかった(BNP群:-5±13mL/m2対プラセボ群:+6±10mL/m2、P=0.004)。また、左室拡張末期容積もBNP群の方が大きく減少していた(BNP群:-10±15mL/m2対プラセボ群:+6±12mL/m2、P=0.001)。左室心筋重量係数もBNP群に減少傾向を認めた(-4±10mg/m2 対 +6±13mg/m2、P=0.006)。両群とも左室駆出率に変化はなかった。

 左室充満圧は、僧帽弁輪組織ドップラー運動速度(e’)に対する僧帽弁流入血流速度(E)の比(E/e’)として表した。E/e’はBNP群の方がプラセボ群より大きく改善した。

 初回投与時および最終投与時のいずれにおいても、BNP投与後に2次情報伝達物質であるcGMPの血漿濃度が上昇しており、8週間の投与によりBNP耐性は生じなかった。投与開始から8週間後の血漿レニン活性は、BNP群の方がプラセボ群より大きく低下していた(-4±7ng/mL/h 対 +2±5ng/mL/h、P=0.005)。

 BNP群の糸球体ろ過流量(GFR)は、プラセボ群と比べて保持されており、上昇傾向が見られた(+6.9±14mL/1.73m2 対 -2.8±25mL/1.73m2、P=0.14)。血漿シスタチンCはBNP群では減少傾向が見られたが(-0.04±0.2mg/dL、16例)、プラセボ群では増加傾向を認めた(+0.09±0.2mg/dL、18例、P=0.1)。

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