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J Am Coll Cardiol誌から
新規ステントMGuardで冠血流とST完全回復率が上昇
MASTER試験の結果、術後の血流回復で従来ステントを凌ぐ

2012/11/12
難波寛子=医師

 経皮的冠動脈形成術(PCI)を受ける急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者を対象に、新規ベアメタルステント「MGuard」と従来のベアメタルステント(BMS)および薬剤溶出ステント(DES)を比較したランダム化比較試験で、術後60~90分後の評価において、MGuard群では従来ステント群よりも冠血流量が多く、ST完全回復率も高いことが分かった。MASTER(Safety and Efficacy Study of MGuard Stent After a Heart Attack)試験の結果が、10月24日付のJ Am Coll Cardiol誌オンライン版に公開された。

 MGuard(InspireMD、テルアビブ、イスラエル)はポリエチレンテレフタレートのマイクロネットで覆われた新規ベアメタルステントであり、血栓とアテローム性のデブリスを捕捉して遠位の塞栓を防止することを意図してデザインされた。

 本研究の対象は、STEMIに該当する症状の出現から12時間以内で、2mm以上のST上昇を2つ以上の連続する誘導で認め、PCIが予定されている18歳以上の患者とした。左脚ブロック等のST評価に影響を与える要因がある症例や、6カ月以内のPCI既往、冠動脈バイパス術の既往、出血傾向や抗血小板薬などの薬剤に対するアレルギーのある症例、併存疾患によりプロトコルの完遂が不可能と思われる症例、余命1年未満と予測される症例は除外した。

 血管造影上の条件は、長さ33mm以下の初回病変で、該当する血管径(RVD)が3mm以上4mm以下と予測され、1本のMGuardで対応できる病変とした。左冠動脈主幹部に50%以上の閉塞を認める場合、病変が分枝の入口にあるか分岐部を含み分枝の2mm以上にわたる場合、病変部に極度の蛇行や曲がりがある場合、中等度以上の石灰化を認める場合、病変の近位または遠位に50%超の狭窄を認める場合、病変の近位部または10mm以内の遠位部に過去に留置されたステントがある場合は対象から除外した。

 左前下行枝病変か否か、血栓吸入併用の有無により層別化してランダム化を行い、MGuard群と市販のBMSまたはDESを使用する従来ステント群に1:1で割り付けた。

 主要評価項目は、ST完全回復率とした。ST完全回復は、12誘導のST上昇の和がベースラインと比較して70%以上減少した場合とし、ベースライン時とPCI後60分から90分の間に記録した12誘導心電図を用いて評価した。副次評価項目は、デバイス留置、病変回復、および血管造影上の成功率、TIMI フロー、TIMIフレームカウント、Myocardial blush grade(MBG)、術中血栓性合併症(IPTEs)とした。

 2011年7月22日から2012年5月29日までに9カ国50施設から433例が登録され、217例がMGuard群、216例が従来ステント群へ割り付けられた。患者背景に両群差はなく、年齢の中央値は59歳、女性の割合は24%だった。梗塞部位は左前下行枝が40.2%、右冠動脈が51.3%、左回旋枝が8.3%だった。全例で目標病変は1カ所だった。両群それぞれ約3分の2で血栓吸引術を行った。抗血小板療法、抗凝固療法、その他の治療法に両群の差はなかった。

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