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JAMA誌から
CAD患者へのβ遮断薬投与に有益性認められず
縦断観察研究の傾向スコアを用いた解析で明らかに

2012/10/19
岡本 絵理=メディカルライター

 心筋梗塞MI)の既往がある患者、MIの既往がない冠動脈疾患CAD)患者、CADの危険因子を持つがCADは未発症の患者では、β遮断薬の使用と心血管事象発生率の低下に関連が見られないことが、国際的縦断観察研究で明らかとなった。結果は、JAMA誌10月3日号に掲載された。

 β遮断薬は、MIや心不全に関する過去の研究結果に基づき、MIの既往がある患者だけでなく、MIを発症したことのないCAD患者にも使用されている。しかし、その根拠となっている研究は再灌流手技などの現在の医療が普及する前に実施されたもので、CAD患者でのβ遮断薬の有用性は明らかとなっていない。

 そこで国際的前向き観察レジストリである、REACH(Reduction of Atherothrombosis for Continued Health)レジストリの担当医師らは、MIの既往がある患者、MIの既往がないCAD患者、CADの危険因子があるCAD未発症者を対象に、β遮断薬と長期心血管転帰との関連を調べた。

 解析対象者は4万4708例で、このうちMIの既往がある患者は1万4043例(31%)、MIの既往がないCAD患者は1万2012例(27%)、CADの危険因子があるのみの患者は1万8653例(42%)だった。最後の患者は2004年12月に登録され、最終データの収集は2009年4月に行われた。

 1次アウトカムは心血管死亡・非致死的MI・非致死的脳卒中の複合イベントとした。2次アウトカムは、1次アウトカム+アテローム血栓事象による入院または血行再建手技の複合イベントとした。3次アウトカムは総死亡、心血管死亡、非致死的MI、非致死的脳卒中、入院とした。

 解析は、intention-to-treatの原則に基づき行った。各コホートにおいて傾向スコアマッチングを実施し、Cox比例ハザード回帰モデルを用いてハザード比(HR)を推定した。ただし、正確な入院日が入手できなかったため、2次アウトカムおよび3次アウトカムの入院についてはオッズ比(OR)を解析に用いた。

 追跡期間の中央値は44カ月(四分位範囲:35~45カ月)だった。傾向スコアをマッチさせた解析には2万1860例が含まれた。

 MIの既往がある患者のうち、9451例(67%)がβ遮断薬を使用していた。傾向スコアマッチングで、β遮断薬使用者3379例(コホートの36%)にβ遮断薬不使用者3379例(コホートの74%)をマッチさせた。1次アウトカムにβ遮断薬使用の有無による有意差は見られず(489例[16.93%] 対 532例[18.60%]、HR:0.90、95%信頼区間[95%CI]:0.79-1.03、P=0.14)、2次および3次アウトカムでも有意差はなかった。

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