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Ophthalmology誌から
スタチン使用者は開放隅角緑内障のリスクが低い
50万人余の高コレステロール血症患者を対象とした後ろ向きコホート研究

2012/10/18
西村 多寿子=医療ライター

 60歳以上の高コレステロール血症患者を対象とした後ろ向きコホート研究から、スタチンの使用は開放隅角緑内障(open-angle glaucoma:OAG)の発症リスク低下と有意な関連が見られることが明らかになった。この結果は、Ophthalmology誌10月号に掲載された。

 スタチンは神経保護作用を有し、アルツハイマー病や多発性硬化症などの神経疾患患者に有効だとするエビデンスが増えている。OAGでは視神経と網膜神経線維層が障害されるため、視野欠損リスクのある患者に対してもスタチンは有効だとする仮説がある。

 またメタボリック・シンドロームとOAGに関する研究では、糖尿病あるいは高血圧合併患者においてOAG発症リスクの増加が認められたが、高コレステロール血症合併患者ではそのリスクが若干低下していた。だが、この作用は高コレステロール血症によるものなのか、脂質低下薬(スタチン)によるものかは不明である。

 そこで米国ミシガン大学の研究者らは、マネジドケアに関する大規模データベースi3 InVision Data Martを利用して、高コレステロール血症患者におけるOAGとスタチンの関係を検討した。

 本研究の対象は、2001~2009年に同データベースに登録され、連続2年以上の登録期間を有し、その間に眼科もしくは検眼士の受診経験が2回以上、高コレステロール血症の診断を受けた回数が1回以上などの基準を満たす60歳以上の男女とした。

 登録から2年経過した日を指標日とし、指標日前にOAGの診断はなく指標日以降にOAGと新規に診断された症例、指標日前の緑内障疑いから指標日以降にOAGと診断された症例、眼圧降下の薬物治療やレーザー/切開術が実施された症例を追跡した。

 Cox回帰分析を用いて、スタチン使用とOAG診断などとの関係を検討した。補正には、年齢、性別、教育レベル、世帯資産、登録時の在住地域、スタチン以外の脂質低下薬の使用、内科系と眼科系の併存疾患を用い、ハザード比(HR)と95%信頼区間(95%CI)を算出した。

 分析対象となった高コレステロール血症患者は52万4109人。平均年齢は68.1歳、女性比率は53.5%、白人比率は87.4%だった。平均登録期間は4.3年±1.8年で、眼科受診回数の中央値は3.0回だった。患者の60.3%(31万6182人)がスタチンを1剤以上投与されており、アトルバスタチンシンバスタチンの投与が多かった。
 

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