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N Engl J Med誌から
加糖飲料の摂取量が多いと遺伝的な肥満傾向が現れやすくなる
米国における大規模コホート研究の結果

2012/10/12
難波 寛子=医師

 肥満遺伝的素因を持つ人は、肥満の遺伝的素因を持たない人と同量の砂糖入り飲料を摂取した場合に、より肥満になるリスクが高いことが、米国で行われた大規模コホート研究で明らかになった。論文は、9月21日付のN Engl J Med誌電子版に掲載された。

 砂糖入り飲料の過剰摂取が肥満につながることは周知の事実だが、砂糖入り飲料による肥満リスクの増加と肥満の遺伝素因との関連は不明だった。

 本研究は、Nurses’Health Study(NHS)、Health Professionals Follow-up Study(HPFS)、Women’s Genome Health Study(WGHS)の3つの前向きコホート研究の参加者を対象に行われた。

 NHSの対象は、1976年の研究開始時に30~55歳だった女性看護師12万1700人。HPFSの対象は、1986年の研究開始時に40~75歳だった男性医療従事者5万1529人。本研究では、いずれも初回に行われた食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いた調査として、NHSでは1980年、HPFSでは1986年をベースラインとした。FFQによる調査は4年ごとに行った。2つの研究から最終的な解析対象として抽出されたのは、遺伝子に関するデータが得られた欧州系の健康男性4423人、健康女性6934人だった。

 WGHSの対象は、1992~1995年の時点で45歳以上かつ慢性疾患に罹患していない女性医療従事者だ。ベースラインに糖尿病がなく、FFQの回答と遺伝子データが得られた欧州系女性2万1740人を今回の解析対象とした。

 3つのコホートでは、同様のFFQを使用した。砂糖入り飲料には、カフェイン入りとカフェインなしのコーラ、コーラ以外の炭酸飲料、炭酸でない砂糖入り飲料(フルーツパンチ、レモネード、他のフルーツ飲料)を含めた。人工甘味料を用いた飲料には、低カロリー飲料を含めた。

 身長と体重のデータは質問表から得た。BMI 30kg/m2以上を肥満とした。食事の質の評価にはAlternative Healthy Eating Index(スコアは2.5から87.5まで。高スコアになるほど健康的)を使用した。

 肥満の遺伝素因の評価には、BMIと関連することが知られている遺伝子32座の一塩基多型を用いた。既報の重み付け法を用いて32のSNPsに基づいて遺伝傾向スコアを決定した。スコアは0から64までで、スコアが高いほど肥満となる遺伝的傾向が強い。それぞれのSNPは相対エフェクトサイズ(β係数)により重み付けした。

 ベースラインの砂糖入り飲料の摂取量は、NHSコホート(1980年)、HPFSコホート(1986年)、WGHSコホート(1992年)で、それぞれ1日当たり0.33±0.70、0.32±0.56、0.26±0.57サービングサイズ (servings)だった。ベースラインの砂糖入り飲料摂取量は、3つのコホート全てでBMIと正の相関を示していた(P<0.001、P=0.007、P<0.001)。

 遺伝傾向スコアの平均はNHSコホート、HPFSコホート、WGHSコホートで、それぞれ29.1±3.9、29.2±3.9、29.1±3.8だった。スコアは3コホートで同様に正規分布していた。

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