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J Am Coll Cardiol誌から
10年間の運動療法でCHF患者の運動耐容能とQOLが向上
専門家による監督下で順守率も88%と良好

2012/10/09
岡本 絵理=メディカルライター

 NYHAクラスI/IIの慢性心不全CHF)患者が、専門家による監督下で運動療法を10年間行ったところ、最高酸素摂取量(peak VO2)およびQOLの改善がみられ、さらには入院率や心疾患死亡率も減少したことが、9月19日付のJ Am Coll Cardiol誌オンライン版に報告された。

 CHF患者でよく見られる所見に運動不耐性があり、徐々に機能悪化を引き起こす。これに対して運動療法が有益であるという結果が比較対照試験から得られているが、運動を監督すべきか、運動の持続時間はどの程度が適切か、臨床転帰への影響はどの程度かなど、不明な点がいくつか残っている。

 そこで、イタリアとアメリカの研究者らは、専門家による監督下で中等度の運動療法を10年間実施した場合に、NYHAクラスII/III患者の運動耐容能およびQOLが持続的に改善するかを調べた。

 対象は、試験登録3カ月前から臨床的に安定しており、左室駆出率が40%未満の運動可能なCHF患者123人。1994年から2005年まで追跡した。

 初回診察後、63人を運動トレーニング群(T群)、60人を非運動トレーニング群(NT群)にランダム化した。T群は、心臓病専門医および運動療法士の監督の下、約1時間のトレーニングを週2回行った。トレーニングは6カ月に1回病院で実施し、それ以外はcoronary club(心疾患患者の運動療法と健康な生活習慣への変化を促す非営利団体)で行った。最初の2カ月間の運動強度はpeak VO2(CPETにおける運動の最後15秒間の平均酸素摂取量)の60%とし、以後は70%とした。NT群には公式のトレーニングプログラムを提供しなかった。

 全患者に対し、試験参加時から12カ月おきに、心肺運動負荷試験(CPET)、ドプラ超音波検査、QOL評価を実施した。また、健康な食事や運動・禁煙の利点、処方薬の重要性などを説明する教育セッションをランダム化前に設けた。ランダム化後も、全患者を対象としてこのような教育セッションを年1回実施した。

 運動耐容能およびQOLのベースラインからの変化を主要エンドポイントとした。運動耐容能の指標はpeak VO2とした。QOLはミネソタ心不全QOL質問票(スコアが高いほどQOLが不良)を用いて評価した。

 解析はintention-to-treatの原則に基づいて行われ、Cox回帰モデルを用いて主要評価項目を解析した。

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