日経メディカルのロゴ画像

European Heart Journal誌から
AMIで死亡した患者の配偶者はうつ病リスクが上昇
デンマークの全国登録を用いた解析

2012/09/07
岡本 絵理=メディカルライター

 急性心筋梗塞AMI)を発症した患者の配偶者は、うつ病発症のリスクが高いことが、デンマークの国家登録データを用いた解析で明らかになった。論文は、8月21日付のEuropean Heart Journal誌オンライン版に掲載された。

 患者との死別により、配偶者の死亡や自殺、心筋梗塞のリスクが上昇することは、複数の研究から示唆されている。一方、患者の致死的・非致死的事象が、配偶者のうつ病、不安、自殺などに及ぼす影響について調べた研究は少ない。

 そこでアメリカとデンマークの研究者らは、デンマークの複数の国家登録を用い、AMI患者の配偶者の転帰について調べた。

 著者らはまず、1997年1月1日から2008年12月31日までに致死的または非致死的AMIを初めて発症した患者の配偶者6万1072人を特定した。そのうち、致死的AMI患者の配偶者(致死的AMI群)1万6506人に対し、AMI以外の死因で死亡した患者の配偶者で、致死的AMI群と年齢・性別・年度をマッチさせた4万9518人(致死的非AMI群)を1:3の割合で抽出した。

 同様に、非致死的AMIを初めて発症した患者の配偶者(非致死的AMI群)4万4566人に対し、AMI以外の非致死的事象が発現した患者の配偶者(非致死的非AMI群)13万1564人をマッチさせた。

 配偶者の心理学的転帰の指標として、抗うつ薬の偶発的使用、ベンゾジアゼピン系薬の偶発的使用、うつ病による偶発的来院(入院または救急搬送)、自殺について検討した。

 配偶者の各転帰指標の発生率を算出し、患者の事象発現前1年間の発生率に対する事象発現後のある時点での発生率の比を発生率比(IRR)として、ポワソン回帰モデルを用いて比較した。事象発現1年後の時点でのIRRを総IRRとした。

 致死的AMI群の抗うつ薬使用の発生率は、AMIの発現前と比べて発現後の方が有意に高く(総IRR:3.30、95%信頼区間[95%CI]:2.97-3.68)、2カ月後に最大となった(2カ月後のIRR:5.72、95%CI:4.85-6.74)。

 致死的非AMI群においても、事象発現後の抗うつ薬使用の発生率上昇を認めたが、その程度は致死的AMI群より有意に小さかった(総IRR:2.21、95%CI:2.08-2.34、相互作用のP<0.0001)。

 非致死的AMIも配偶者の抗うつ薬使用に有意な影響を与えたが(総IRR:1.17、95%CI:1.07-1.28)、非致死的非AMIの影響は有意ではなかった(総IRR:1.04、95%CI:0.98-1.09、相互作用のP=0.02)。

 ベンゾジアゼピン系薬の使用については、事象発現から1カ月後のIRRが、致死的AMI群では46.4(95%CI:42.2-50.9)、致死的非AMI群では13.0(95%CI:12.4-13.6)、非致死的AMI群が6.7(95%CI:6.1-7.4)であり、事象発現前より上昇していた。一方、非致死的非AMI群ではわずかな上昇しか見られなかった(事象発現から1カ月後のIRR:1.3、95%CI:1.1-1.5)。

この記事を読んでいる人におすすめ