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Lancet誌から
スタチンは低リスク症例の心血管イベントも抑制

2012/08/31
難波寛子=医師

 心血管イベントの低リスク症例にスタチン治療を行うことにより、心血管イベントが有意に抑制されることが、27件の大規模RCTを対象としたメタ解析で分かった。このような低リスク症例を治療対象としていない現行ガイドラインに再考を促す結果と言えそうだ。論文は、Lancet誌8月11日号に掲載された。

 この解析を行ったCTT(Cholesterol Treatment Trialists’)Collaborationの研究者らが過去に行ったメタアナリシスでは、心血管疾患の既往がない症例にスタチン治療を行うと、心血管イベントが減少することが確認されている。心血管イベントの半数が低リスク症例に生じることから、低リスク症例への介入の是非は重要な課題だが、低リスク症例に対する1次予防としてのスタチン治療の有用性は明らかでなかった。

 解析に用いたRCTの組み入れ基準は、2009年末までに発表され、2011年6月までにデータが得られた試験のうち、以下の3条件を満たすものとした。(1)LDL-Cの低下を目的とした介入を行っていること、(2)LDL-Cの低下を目的とした介入に関して交絡がないこと(例えば、リスク因子の調整に群間の差がないこと)、(3)参加者が1000人以上であり介入期間が2年以上であること。

 主要アウトカムは、主要な血管イベント、主要冠動脈イベント(非致死性心筋梗塞または冠動脈疾患死亡)、脳卒中、冠動脈血行再建、悪性腫瘍、死因別の死亡とした。

 27件の試験に参加した17万4149例のデータを得た。27件のうち、22件では標準的なスタチン治療と対照群の比較が行われていた(対象13万4537例、ベースラインの平均LDL-C 3.70(標準偏差[SD]:0.7mmol/L、1年後の差の平均:1.08mmol/L、生存症例の観察期間中央値;4.8年)。5件では強力なスタチン療法と通常のスタチン療法の比較が行われた(対象3万9612例、ベースラインの平均LDL-C:2.53[SD 0.6]mmol/L、1年後の差の平均:0.51mmol/L、生存症例の観察期間中央値:5.1年)。2件の対象6331例については、個々のデータが得られなかった。この6331例は血管疾患の既往がある高リスク症例だった。

 ベースライン時の5年間の主要な血管イベントリスクを、5%未満から30%以上までの5群に分けた。

 スタチン治療群と対照群を比較した試験における主要な血管イベントの年間発生率は、最低リスク群(5%未満)で0.6%、最高リスク群(30%以上)で9.5%だった。一方、冠動脈疾患の既往のあるハイリスク(10%~20%、20%~30%、30%以上)症例を対象として強度の異なるスタチン治療を比較した試験では、3.7%から10.7%の間だった。

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