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J Am Coll Cardiol誌から
心房細動患者の出血予測能はHAS-BLEDが優れる
他のリスクスコアHEMORR2HAGES、ATRIAと比較

2012/08/20
西村 多寿子=医療ライター

 抗凝固薬投与中の心房細動患者を対象とした臨床試験のデータセットを利用して、3つの出血リスクスコア(HAS-BLEDHEMORR2HAGESATRIA)を比較したところ、HAS-BLEDは他の2つのスコアに比べて臨床的に重要な出血の予測能に優れていることが明らかになった。この結果は7月24日、J Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 本研究は、血栓塞栓症リスクの高い心房細動患者を対象に活性型第X因子阻害薬idraparinuxの有効性・安全性をビタミンK拮抗薬と比較した非劣性試験AMADEUS(Evaluating the Use of SR34006 Compared to Warfarin or Acenocoumarol in Patients With Atrial Fibrillation)のデータを利用した。

 同試験のビタミンK拮抗薬群のデータセットのみを利用し、ランダム化期間と観察期間に発生したイベント情報を収集し、3つの出血リスクスコア(HEMORR2HAGES、HAS-BLED、ATRIA)のリスク予測能を比較した。

 HEMORR2HAGESに含まれるリスク項目は、肝腎疾患(Hepatic or renal disease)、アルコール中毒(Ethanol abuse)、悪性腫瘍(Malignancy)、75歳超(Older)、血小板減少(Reduced platelet count or function)、再出血(Re-bleeding)、高血圧(Hypertension)、貧血(Anemia)、遺伝要因(Genetic factors)、過度の転倒リスク(Excessive fall risk)、脳卒中の既往(Stroke)の11個で、再出血のみ2点で計算する。

 HAS-BLEDの最大スコアは9点で、リスク項目は高血圧(Hypertension)、腎または肝機能異常(Abnormal renal/liver function:各1点)、脳卒中(Stroke)、出血既往・傾向(Bleeding history or predisposition)、INR不安定(Labile INR)、65歳超(Elderly)、抗血小板薬やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用またはアルコール依存 (Drugs/alcohol:各1点)である。

 ATRIAは5項目からなり、貧血(3点)、重症腎不全(糸球体濾過率<30mL/分、透析など:3点)、75歳以上(2点)、出血の既往(1点)、高血圧(1点)である。

 安全性の主要評価項目は、臨床的に重要な出血(大出血+臨床的に重要な非大出血)とした。ROC曲線下面積の比較に用いるC統計量は、臨床的に重要な出血、大出血、総死亡を算出した。Cox比例ハザード分析を用いて、各スコアの予測能を比較検討した。

 対象となったAMADEUS試験ビタミンK拮抗薬群の患者2293例は、平均年齢70歳、男性比率65%、CHADS2スコア2.1だった。臨床的に重要な出血が1回以上あった患者は251例(11%)、大出血1回以上は39例(1.7%)だった。
 
 

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