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J Am Coll Cardiol誌から
メタボリックシンドロームを合併した大動脈弁狭窄症は進行が早い
57歳以下の若年者で有意な関係、ASTRONOMER試験のサブ解析結果

2012/07/27
難波寛子=医師

 メタボリックシンドロームMetS)のある人々の大動脈弁狭窄症(AS)は、MetSのない人々のASよりも早く進行することが分かった。進行速度の差は、57歳以下の若年者でのみ顕著だった。ASTRONOMER(AS Progression Observation: Measuring Effects of Rosuvastatin)試験のサブ解析として行われた研究結果で、論文は、J Am Coll Cardiol誌7月17日号に掲載された。
 
 ASTRONOMER試験は、2002~2005年にカナダの23施設で軽度から中等度のAS症例269例(年齢:18~82歳、最大大動脈血流速度[Vpeak]:2.5~4.0 m/s)を登録し、ロスバスタチンまたはプラセボに割り付けてAS進展抑制効果を検討した無作為化試験。除外基準は、重度または有症状のAS、高度の大動脈弁逆流、僧帽弁疾患、有症状の冠動脈疾患、うっ血性心不全、糖尿病、脂質降下治療を要する状態とした。

 今回のサブ解析は、ASの進行とMetSとの関係を明らかにし、年齢とスタチンの投与がASの進行にもたらす影響を評価する目的で行われた。対象は、269例からウエスト周囲径またはドップラエコーの結果に関するデータが欠落していた26例を除外した243例(90%)とした。

 MetSは、米国高脂血症治療ガイドラインに基づいて定義した。ドップラエコーにより、Vpeak、簡易ベルヌーイ式で算出した平均弁口圧較差、連続の式に基づく大動脈弁口面積(AVA)を評価した。AVAは、45例(19%)において算出不能だった。Doppler velocity index(DVI)は左室流出路血流速度の速度時間積分値を大動脈血流速度の速度時間積分値で割って算出した。大動脈弁石灰化の程度は4段階に分類した(1:なし、2:軽度、3:中等度、4:高度)。

 主要アウトカムは、弁狭窄進行の程度とした。観察期間が症例により異なるため、狭窄の変化を観察期間で割ることで、Vpeak、AVA、DVIの年間の変化を求めた。2次アウトカムは大動脈弁置換術(AVR)と心疾患死亡の複合アウトカムとした。

 243例の平均観察期間は3.4±1.3年だった。46%に喫煙歴があり、30%に高血圧、27%にMetSがあった。MetS群は非MetS群と比較して、相対的左室壁厚と左室重量係数が有意に高く、統計学的有意差はないものの二尖弁が少なかった。一方、大動脈弁の石灰化、Vpeak、圧較差、AVA、DVI、左室駆出率は両群同等だった。

 ASの進行はMetS群で有意に早かった。年間のVpeakの変化は、MetS群で+0.25 ± 0.21 m/s/年、非MetS群で+0.19 ±0.19 m/s/年( P=0.03)、AVAの変化はそれぞれ、-0.10 ± 0.06 cm2/年 と-0.07 ±0.07 cm2/年(P=0.005)、DVIの変化は、-0.025 ± 0.018 と-0.016 ±0.019(P=0.004)だった。ベースライン時の変数につき多変量解析を行った結果、Vpeakの進行の独立した予測因子は、年齢が高い(P=0.01)、大動脈弁石灰化が高度(P=0.01)、Vpeak高値(P=0.007)、MetS(P=0.005)だった。MetSはAVA(P=0.03)とDVI(P=0.02)の進行についても独立した予測因子だった。

 ASの進行に対するMetSの影響は年齢によって異なっており(MetSと年齢の交互作用のP=0.01)、年齢中央値である57歳かそれ以下の場合、MetS群のASの進行速度は非MetS群のほぼ2倍だった。57歳以下の場合、年間のVpeak 変化はMetS群が+0.24 ± 0.19 m/s/年、非MetS群が+0.13 ± 0.18 m/s/年(P=0.008)、年間のAVA変化はそれぞれ-0.10 ±0.06 cm2/年と-0.05 ±0.07 cm2/年(P=0.004)、年間DVI 変化は-0.024 ±0.017と-0.010 ±0.017(P=0.002)だった。一方、57歳超では両群の差はなかった。

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