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N Engl J Med誌から
心臓手術後のせん妄は認知機能低下の危険因子
せん妄発症例には退院後の長期観察と個別ケアが必要と著者

2012/07/18
西村 多寿子=医療ライター

 心臓手術後のせん妄発症の有無と、術後1年間の認知機能の変化を調べたところ、せん妄発症は、術後初期の認知機能の有意な低下とその遷延化に関連していることが明らかになった。この結果は、N Engl J Med誌7月5日号に掲載された。

 心臓手術後の認知機能障害は、術後3カ月以内に回復することが多い。だが回復が遅れるケースもあり、その関連因子は十分に解明されていない。一般患者集団では、せん妄は認知機能の低下と関連しているが、心臓手術後のせん妄発症の有無が認知機能に影響を与えているかは明らかではない。

 そこで米国マサチューセッツ大学の研究者らは、心臓手術前後の認知機能と、術後せん妄発症の有無および術後1年間の認知機能の経過を調査した。

 対象は、大学病院2施設と退役軍人病院1施設にて冠動脈バイパス術CABG)または弁置換術を予定している60歳以上の患者とした。適格基準を満たした患者461例のうち、235例が参加意思を表明した。最終的に、死亡や脱落例を除く225例を分析対象とした。

 認知機能は、ミニメンタルステート検査MMSE、0~30点でスコアが低いほど認知機能不良)を用いて評価した。せん妄の有無は、Confusion Assessment Methodを用いて判定した。

 認知機能の変化については、術前と術後に5回(2日目、3~5日目、6~30日、31~183日、184~365日以上)、インタビュー経験の豊富な面接担当者が聞き取り調査を行った。せん妄の期間は、評価が陽性になった時点からの日数を計算した。

 ベースラインの患者特性と術後せん妄の有無の関連を分析した。またMMSEに基づく認知機能は、年齢、教育レベル、性別、人種、Charlson comorbidity index、脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)既往の有無、病院、手術の種類で補正した。

 患者の平均年齢は73歳(範囲:60~90歳)、女性の割合は24%、追跡期間の中央値は363日(範囲:2~482日)だった。手術の種類は、CABGのみが78%、弁置換術または弁置換術+CABGが22%だった。
 

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