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N Engl J Med誌から
日本人の未破裂脳動脈瘤破裂の可能性は年間0.95%
UCAS Japan研究における3年間の観察結果

2012/07/13
難波寛子=医師

 日本脳神経外科学会のプロジェクトとして行われた日本未破裂脳動脈瘤悉皆調査(UCAS Japan: The Unruptured Cerebral Aneurysm Study of Japan)における3年間の観察結果が、6月28日のN Engl J Med誌に掲載された。日本人における未破裂脳動脈瘤の年間の破裂率は0.95%で、サイズが大きくなるに従い破裂のリスクも上昇することが確認された。また、中大脳動脈の動脈瘤より、前交通動脈または内頸動脈-後交通動脈の動脈瘤の方が破裂のリスクが高いこと、不整な突出を有する場合は高リスクであることも分かった。

 UCAS Japanは、日本人の未破裂脳動脈瘤の自然歴と破裂の危険因子を明らかにする目的で2001年から行われた大規模前向きコホート研究である。

 対象は、新たに診断された未破裂脳動脈瘤患者で、本調査の参加施設を2001年1月1日から2004年4月30日までの期間に受診した者とした。組み入れ基準は、20歳以上で、脳動脈瘤の最長径が3mm以上。基準を満たす全例について参加を呼びかけた。除外基準は、原因不明または未治療の原因による頭蓋内出血の既往、modified Rankin scaleのスコアが2以上とした。

 臨床所見を記録する目的での初回の受診をDay0とし、経過観察は3カ月、12カ月、36カ月の時点で行った。データが得られる場合は観察を5~8年継続した。

 脳動脈瘤の診断は、MRA、高解像度3D-CT、血管造影のいずれかを用いて行った。Daughter sacは「2Dまたは3D画像で確認された動脈瘤表面の不整な突出」と定義した。紡錘状動脈瘤と解離性動脈瘤は本研究からは除外した。また、海綿静脈洞内内頸動脈瘤も除外した。

 期間中、283施設から6413例が登録された。2010年4月14日にレジストリーからのデータ抽出を行った時点で、5720例6697個の脳動脈瘤が組み入れ基準を満たしていた。対象の大多数は無症状で、脳動脈瘤の91%が偶然に発見されていた。平均年齢(±SD)は62.5±10.3歳、3分の2が女性だった。動脈瘤の最大径の平均は5.7±3.6mmだった。年齢が上がると動脈瘤が大きくなっており、対象者のうち7mm以上の動脈瘤を有する割合は50歳未満で18.0%、50~59歳で21.4%、60~69歳で24.7%、70~79歳で32.6%、80歳以上で39.7%だった(P<0.001)。

 観察期間中、予防的外科治療が2722例、3050個の動脈瘤に対して行われた。手術はday0から中央値で48日後に行われた(25%が28日以内、75%が82日以内)。予防的外科治療を受けた対象者は、受けなかった対象者と比較して若年で、動脈瘤が大きく、動脈瘤の位置も異なっていた。

 1万1660動脈瘤-年の観察において、111人が動脈瘤破裂を経験した。年間の破裂リスクは0.95%(95%信頼区間[CI]:0.79-1.15)だった。Kaplan-Meier分析の結果、観察期間中を通して破裂率は一定だった。

 観察期間中に生じた脳動脈瘤破裂のうち、死亡に至ったのは39件(35%)、modified Rankin scaleのスコアが3~5となる中等度から重度の後遺症を残したのは32件(29%)だった。Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析の結果、動脈瘤の位置(中大脳動脈と比較した前交通動脈の動脈瘤破裂のハザード比[HR]:2.02、95%CI:1.13-3.58、内頸動脈-後交通動脈の動脈瘤破裂のHR:1.90、95%CI:1.12-3.21)と不整な突出(daughter sac)あり(HR:1.63、95%CI:1.08-2.48)が破裂の有意な危険因子だった。

 3~4mmの動脈瘤を「1」とした場合、5~6mmの動脈瘤では破裂のHRは1.13(95%CI:0.58-2.22)、7~9mmでは3.35(1.87-6.00)、10~24mmでは9.09(5.25-15.74)、25mm以上では76.26(32.76-177.54)だった。

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