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N Engl J Med誌から
n-3脂肪酸投与は心血管イベント減少に寄与せず
耐糖能異常者を対象としたプラセボ対照試験の結果

2012/06/29
難波寛子=医師

 心血管リスクの高い耐糖能異常の人々にn-3脂肪酸を投与しても、心血管死亡リスクはプラセボと同等であることが、1万3000人近くを対象としたランダム化比較試験で分かった。その他の主要な心血管イベントの発生についてもプラセボとの有意差は認められず、脂質プロフィールにおいても改善が認められた項目は中性脂肪のみだった。Outcome Reduction with Initial Glargine Intervention(ORIGIN)試験の一環として行われた研究結果で、論文は6月11日、N Engl J Med誌電子版に発表された。

 日常的に魚を食べる人やn-3脂肪酸のサプリメントを摂取している人は、心血管イベントリスクが低いという疫学研究の結果を受けて、近年、n-3脂肪酸に関する様々な比較試験が行われている。これらの試験を対象とした当初のメタ解析では、n-3脂肪酸投与が心血管イベントの発生率を低下させるという結果が得られた。だが、プラセボを対照とした盲検ランダム化比較試験のみを対象とした最近のメタ解析では、n-3脂肪酸の効果は確認できなかった。また、糖尿病患者を含む耐糖能異常の人々を対象とした研究結果は報告されていない。

 今回のランダム化比較試験では、900mg以上のn-3脂肪酸エチルエステルを含む1gカプセル(Omacor、Pronova BioPharma Norge)とプラセボの心血管系に対する効果の比較と同時に、インスリングラルギンと標準治療を比較した。インスリングラルギンに関する結果は、同日付のN Engl J Med誌電子版に同時掲載されている(The ORIGIN Trial Investigators. N Engl J Med 2012. DOI: 10.1056/NEJMoa1203858.)。

 対象の適格基準は、50歳以上で、糖尿病と診断されており経口血糖降下薬1剤以内で治療中、または耐血能異常(75g経口ブドウ糖負荷2時間値で血糖140mg/dL以上200mg/dL未満)、または空腹時高血糖(空腹時血糖110mg/dL以上126mg/dL未満)があり、心血管リスクの高い人々(心筋梗塞、脳卒中、血行再建術、虚血の記録がある狭心症の既往あり、など)とした。

 除外基準は、試験薬以外のn-3脂肪酸使用の中止に同意しない人、HbA1c9%以上である人、4年以内に冠動脈バイパス術の既往がある人、治療を必要とする心血管イベントがない人、重症心不全の患者、生存率に影響する可能性のある悪性腫瘍の患者とした。

 10日間のrun-in期間の後、対象をn-3脂肪酸内服群と対照群にランダムに割り付けた。n-3脂肪酸群は、465mgのエイコサペンタエン酸(EPA)と375mgのドコサヘキサエン酸(DHA)を含むn-3脂肪酸1gを内服した。対照群は1gのオリーブオイルを含むプラセボを内服した。

 経過観察目的の受診は、ランダム化後2週間、1、2、4カ月の時点と、以降4カ月ごととした。魚や他の海産物の摂取は特に制限しなかったが、n-3脂肪酸を含むサプリメントの摂取は禁止した。

 1次アウトカムは心血管死亡とした。2次アウトカムは心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中を合わせた複合イベント、ならびに総死亡、不整脈による死亡とした。

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