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New Engl J Med誌から
アジスロマイシン投与患者で心血管死亡リスクが増加
抗菌薬非投与者の約3倍、米国の後ろ向きコホート研究の結果

2012/06/22
岡本 絵理=メディカルライター

 アジスロマイシン投与中の患者は心血管死亡のリスクが増加することが、米国テネシー州の研究者らが行った後ろ向きコホート研究で分かった。結果はNew Engl J Med誌5月17日号に掲載された。

 アジスロマイシンは比較的心毒性が少ない薬剤とされているが、他のマクロライド系抗菌薬と同様に催不整脈作用があるとのエビデンスが蓄積しつつある。そこで著者らは、アジスロマイシン投与患者は、抗菌薬非投与者や他の抗菌薬の投与患者に比べて心血管死亡、特に心突然死のリスクが上昇しているのではないか、という仮説を立て、アジスロマイシン投与患者の死亡を調査した。

 テネシー州のメディケイドプログラム登録者のうち、1992~2006年にアジスロマイシンを処方されたことのある者を対象とした。これら人々の中から、処方調剤時に30~74歳で、生命を脅かす非心血管疾患がなく、前年に薬物乱用の既往や介護施設への入所経験がなく、過去30日間の入院歴がない者を抽出した。

 傾向スコアによりアジスロマイシン投与期間と抗菌薬を投与していない期間をマッチさせた対照コホート(抗菌薬非投与群)を設定した。抗菌薬非投与群は、アジスロマイシン投与患者と同様の適格基準を満たし、さらに試験対象の抗菌薬を過去30日間投与していない者とした。

 処方理由による交絡を制御するため、別の抗菌薬を投与している対照群として、アモキシシリン(クラブラン酸配合薬も含む)、シプロフロキサシン、レボフロキサシンを投与した患者のコホートを設定した。

 主要評価項目は抗菌薬投与期間(またはマッチさせた期間)に発現した心血管死亡および総死亡とした。Cox回帰モデルを用いて、対照群に対するアジスロマイシン投与群のハザード比(HR)を算出した。

 対象期間中のアジスロマイシン群の処方件数は34万7795件で、これに対応する抗菌薬非投与群の対照期間は139万1180件だった。抗菌薬対照群の処方件数は、アモキシシリン群が134万8672件、シプロフロキサシン群が26万4626件、レボフロキサシン群が19万3906件だった。

 アジスロマイシンとアモキシシリンの処方理由は耳鼻咽喉感染および気管支炎が最も多く、処方理由が判明している患者のそれぞれ62%と63%を占めていた(処方全体ではそれぞれ43%および40%)。シプロフロキサシンで最もよく見られた処方理由は泌尿生殖器感染であり、レボフロキサシンの処方理由には耳鼻咽喉感染、その他の呼吸器感染、泌尿生殖器感染が多かった。

 アジスロマイシン投与群では、5日間の投与中に心血管死亡が29件あった(5日間の投与を1回とした場合、100万回につき85.2件)。そのうち22件が心突然死だった(100万回につき64.6件)。総死亡は36件(100万回につき105.9件)あった。一方、マッチさせた5日間に抗菌薬非投与群に発生した心血管死亡は41件(100万回につき29.8件)、心突然死は33件(100万回につき24.0件)、総死亡は79件(100万回につき57.4件)だった。

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