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BMJ誌から
ダークチョコレートがメタボ患者の心血管疾患予防に有効
約2000人のデータを数理モデル解析、費用対効果の高い予防策になると著者

2012/06/19
西村 多寿子=医療ライター

 メタボリックシンドロームの患者がダークチョコレート100gを毎日10年間食べ続けると心血管リスクが低減し、費用対効果の面でも有効な予防対策になる可能性があることが示された。約2000人の患者データと数理モデルを用いて最善のシナリオを計算した結果で、5月30日付のBMJ誌オンライン版に掲載された。

 カカオ含有量の多いダークチョコレートは、抗酸化作用のあるポリフェノールを豊富に含むため、降圧や抗炎症、抗血栓効果が期待されている。短期の研究では、ダークチョコレートの摂取で高血圧や脂質値が改善したとの報告がある。だが、日々の食事内容に関わるプラセボ対照比較試験を長期間実施するのは困難である。

 そこで、オーストラリアMonash大学の研究者らは、同国の大規模疫学研究AusDiabAustralian Diabetes、Obesitiy and Lifestyle)の登録者データを利用して、メタボリックシンドロームの患者集団でのダークチョコレート長期摂取による心血管疾患リスクへの効果および費用対効果を予測した。

 健康状況のモデルを「心血管疾患なしで生存」「心血管疾患ありで生存」「心血管疾患で死亡」「その他の要因で死亡」の4つに分類し、「ダークチョコレートあり(治療群)」と「ダークチョコレートなし(対照群)」の2つの健康戦略について比較した。

 モデルに投入する最初の健康状況は全員「心血管疾患なしで生存」とし、リスク予想アルゴリズムと人口生命表を使い、個人の健康状況が年周期でどのように変化するかを、Markovモデルを用いて検討した。

 治療群の心血管リスクの変化は、ダークチョコレートが収縮期血圧と脂質値に与える影響で計算した。降圧効果については13のランダム化比較試験のメタ解析結果を用い、脂質値については、健常者を対象にカカオの効果を調べた8つの短期試験のメタ解析結果を使用した。

 増分費用効果比は、カカオ含有量の高い製品を使った治療に伴う純コストと治療を行わない場合の差を、各群の生存年の差で割って算出した。

 AusDiab研究登録者のうち、メタボリックシンドロームに分類され、かつ心血管疾患や糖尿病の診断を受けていない3069例を抽出し、そのうち降圧療法を受けている症例と収縮期血圧121mmHg未満の症例を除いた2013例をモデルに投入する集団とした。

 対象集団の平均年齢は53.6歳、男性比率54.8%、収縮期血圧141.1mmHg、総コレステロール6.1mmol/L、HbA1c 34.4mmol/L、腹囲100.4cmだった。

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