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Arch Intern Med誌から
血糖厳格管理に腎予後改善のエビデンス認められず
米国におけるメタアナリシスの結果

2012/06/15
難波寛子=医師

 厳格血糖降下療法を行っても、成人2型糖尿病患者の腎予後は最終的に改善しない――。そんな結果が、米国の研究者が行ったシステマティックレビューとメタアナリシスで得られ、Arch Intern Med誌5月28日号に掲載された。厳格血糖降下療法は、通常療法と比較して微量アルブミン尿および顕性アルブミン尿のリスクを軽減するが、血清クレアチニン値の倍増や末期腎不全ESRD)、腎疾患による死亡といった主要な臨床アウトカムについては、リスクを軽減するエビデンスが得られなかった。

 著者らは、Medline、Embase、Cochrane Central Resister of Controlled Trialを用いて、1950年から2010年までに発表された研究の中から、19歳以上の2型糖尿病患者を対象に、腎臓関連のイベントについて厳格血糖降下療法と通常療法の効果を比較したランダム化比較試験を検索した。

 検索で抽出した研究について、本研究の組み入れ基準を満たすか否か、2人の研究者が独立して検討した。組み入れ基準は以下の通りとした。(1)対象者が厳格血糖降下療法と通常療法にランダムに割り付けられていること、(2)腎疾患の新規発症または進展がアウトカムとして挙げられており、今回の検討に必要なデータが報告されていること、(3)状態の安定した外来患者のみを対象とし、急性の入院患者を対象としていないこと。

 本研究では、微量アルブミン尿と顕性アルブミン尿の進展を代替評価項目とした。臨床的な評価項目は、血清クレアチニン値の倍増、ESRD、腎疾患による死亡とした。

 最終的にメタアナリシスの対象となったのは、7件の研究、2万8065例の患者だった。

 各研究の対象者数は110~1万1140例で、ベースラインの血清クレアチニン値平均は0.9~1.0mg/dLだった。試験参加時の2型糖尿病罹病期間は6.5~12年だったが、「United Kingdom Prospective Diabetes Study(UKPDS) 33」研究と「UKPDS 34」研究は例外で、新規に診断された2型糖尿病患者を対象としていた。厳格血糖降下療法群の目標HbA1c値は6.0~7.1%だった。観察期間は1件(2年間)を除き、5年以上15年以内だった。

 各研究での微量アルブミン尿の発生率は11.5~44%、顕性アルブミン尿は3.5~8.5%、血清クレアチニン値の倍増は1.0~8.8%、ESRDは0.5~2.8%だった。最も死亡率が低かったのはAction to Control Cardiovascular Risk in Diabetes(ACCORD)研究で、厳血糖降下療法群5.0%、通常治療群3.9%だった。最も高かったのはUKPDS 34研究の14.6%と21.7%だった。

 解析の結果、以下の項目は厳格血糖降下療法でリスクが軽減していた。微量アルブミン尿(7件、リスク比[RR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.76-0.96、リスク差[RD]:-0.04、95%CI:-0.08~-0.01)、顕性アルブミン尿(6件、RR:0.74、95%CI:0.65-0.85、RD:-0.01、95%CI:-0.02~-0.01)。

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