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J Am Coll Cardiol誌から
プラスグレル維持療法中のPCI、至適増量は60mgか
2剤併用療法中のPCI管理に向けた新たなエビデンス

2012/06/04
難波寛子=医師

 新規抗血小板薬プラスグレルを維持投与中の患者に冠動脈インターベンションPCI)を行う際、プラスグレルはどの程度増量すればよいのだろうか。プラスグレル維持投与中の症例を対象に、異なる用量のプラスグレルの薬物動態を検討した非盲検無作為化比較試験で、プラスグレルを60mgに増量すると、30mgや10mgの場合と比べてより迅速かつ確実な血小板阻害が可能となることが分かった。論文は、5月8日付のJ Am Coll Cardiol誌に掲載された。

 急性冠症候群(ACS)の患者やPCIを行う予定の患者に対しては、虚血性イベント予防の目的で、アスピリンとP2Y12受容体阻害薬による2剤併用抗血小板療法が推奨されている。P2Y12受容体阻害薬の1つであるプラスグレルは、PCIを受けるACS症例での虚血性イベント予防効果をクロピドグレルと比較した試験で優位性が認められたことから、使用が増加している。一方で、プラスグレル使用中の症例においても血行再建術の再施行を必要とする場合は多くあり、プラスグレルの維持療法中の症例におけるPCI前後の至適投与量に関するエビデンスが求められていた。

 本研究の対象は、米フロリダ大学の複数の外来施設に通う患者のうち、18~74歳で、アスピリン81mg/日とプラスグレル10mg/日を14日以上継続して内服中の症例。除外基準は、活動性の出血あり、脳血管イベントの既往あり、体重60kg未満、75歳超、契機となったイベント以降臨床的に状態が不安定、経口抗凝固薬内服中、血小板数100×106未満、ヘモグロビン10g/dL未満、クレアチニン2mg/dL以上、肝機能検査が正常上限の2.5倍以上、妊娠または授乳中とした。

 対象症例を、プラスグレルの投与量10mg(増量なし)、30mg、60mgの3群に1:1:1の割合で無作為に割り付けた。いずれの群にも10mg錠(Eli Lilly and Co. Indianapolis, Indiana)を用いた。薬物動態検査のための採血は、ベースラインとプラスグレル投与後1時間、4時間の時点の計3回行った。検査終了後は、経過観察を7日間行って有害作用の有無を調べた。

 べースラインの採血日には、最終のプラスグレル内服が採血の18~24時間前となるよう朝の内服を行わず、血小板反応性のトラフ値を測定した。血小板機能の測定には、血管拡張薬刺激性リン蛋白質のリン酸化の状態のフローサイトメトリー法であるVASPアッセイ(Biocytex, Marseille, France)、VerifyNow P2Y12(Accumetrics, San Diego, California)、光透過型血小板凝集能測定法(LTA)(Chrono-Log Corp., Havertown, Pennsylvania)を用いた。

 プラスグレル維持療法中の77症例がスクリーニングを受けた。うち65例がランダム化されたが、1例がベースラインの血液検査で貧血が明らかになったため除外された。残る64例(10mg群:22例、30mg群:21例、60mg群:21例)が研究を完遂した。研究終了後7日間の観察期間中、出血およびその他の有害事象はみられなかった。

 ベースラインの血小板反応性指数(PRI)に群間の差はなかった(P=0.577)。

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