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J Am Coll Cardiol誌より
胸痛患者からACS低リスク者を2時間で判別する方法
心電図・TIMIスコア・cTnI測定の組み合わせで感度良好

2012/05/28
岡本 絵理=メディカルライター

 胸痛患者のうち、急性冠症候群ACS)のリスクが低い患者を、心電図・TIMIスコア・心筋トロポニンI(cTnI)を組み合わせて迅速に判定する診断法が開発された。この迅速診断法の精度を評価したADAPT研究の結果は5月9日、J Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載され、低リスク者判定の感度は99.7%と報告された。

 ACSを見逃すと、虚血性イベントの進行により死亡や後遺症の発症に至る恐れがある。そのため、胸痛などのACSを疑う症状を呈した患者は慎重に評価する必要があり、評価が長時間に及ぶ場合も少なくない。しかし、それらの患者の中には早期退院が可能な低リスク患者も含まれており、救急部門の過密化や医療費の高騰の一因となっている。

 この問題を解決するため、著者らは今回の研究に先駆けて心電図・TIMIスコア・複数のバイオマーカー(ポイント・オブ・ケア検査で測定した心筋トロポニン、心筋由来クレアチンキナーゼMB、ミオグロビン)で構成した迅速診断法を考案し、前向き観察研究であるASPECTの中で評価している。結果は2011年に発表されたが、患者の9.8%が低リスクと判定され、30日後までの主要有害心イベント(MACE)に対する感度は99.3%だった。

 著者らは今回、この迅速診断法で複数のバイオマーカーの代わりにcTnI検査のみを用いた場合でも、低リスク患者を特定できるかどうかを調べるため、前向き観察研究を行った。

 対象は、2007年11月から2011年2月にオーストラリアおよびニュージーランドの2施設の救急科を受診した患者。18歳以上でACSに合致する5分以上の症状(AHAの定義による)があり、担当医が心筋トロポニンの連続検査を予定した1975人を30日後まで追跡した。

 迅速診断法を用いて患者を評価し、(1)受診時および2時間後のcTnI値が各施設の中央検査室が定めたカットオフ値未満、(2)初回ECGで新たな虚血性変化を認めない、(3)TIMIスコアが0、のすべてに該当した場合に、迅速診断陰性、すなわち低リスクと判定した。

 一次アウトカムは30日以内のMACE(死亡、心停止、緊急血行再建、心原性ショック、介入を要する心室性不整脈、高度房室ブロック、急性心筋梗塞)とした。

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