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J Am Coll Cardiol誌から
エプレレノン追加で心不全患者の心房細動・粗動発症が減少
EMPHASIS-HF試験の対象者における検討結果

2012/05/18
難波寛子=医師

 選択的アルドステロン拮抗薬MRA)であるエプレレノンの、心不全患者における心房細動粗動AFF)発症予防効果が明らかになった。EMPHASIS-HF(Eplerenone in Mild Patients Hospitalization And SurvIval Study in Heart Failure)試験の参加者を対象に、AFFの新規発症を検討したところ、プラセボ群に比べてエプレレノン群の方が新規AFF発症リスクが低かった。この結果は、J Am Coll Cardiol誌5月1日号に掲載された。

 EMPHASIS-HF試験は、軽症収縮不全患者の治療にエプレレノンを追加する効果を検討する目的で行われた。主要評価項目は、心血管死亡と心不全による入院の複合エンドポイントだった。観察期間21カ月(中央値)の時点の中間解析で、エプレレノン群における心血管予後の優位性が事前に定めた基準を超えたため、同試験は早期終了した(N Engl J Med.2011;364:11-21.)。

 EMPHASIS-HF試験の対象は、55歳以上のNYHAクラスII症例で、左室駆出率(EF)が30%未満(30〜35%の場合はQRS幅が130ms超)であり、ACE阻害薬とARBのいずれかまたは両方と、β遮断薬(禁忌の場合を除く)の推奨量または最大耐量が投与されていることとした。

 ランダム化は、心血管疾患による入院から6カ月以内に行った。心血管疾患による入院がない症例の場合は、血清ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が250pg/mLまたはヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N末端フラグメント(NT-proBNP)が男性で500pg/mL以上、女性で750pg/mL以上であればランダム化した。

 主な除外基準は、血清カリウム5.0mmol/L、推定糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73m2未満、カリウム保持性利尿薬内服の必要あり、その他の重大な合併症あり、とした。

 エプレレノン内服量は、血清カリウムが5.0mmol/L以下であれば、1日1回25mg(eGFRが30~49mL/分/1.73m2の場合、25mg隔日)から開始し、4週間後に50mg(eGFRが30~49mL/分/1.73m2の場合25mg連日)に増量した。以降4カ月ごとに観察を行い、血清カリウムが5.5mmol/L以上であれば減量、6.0mmol/L以上であれば内服を一時中止した。

 患者記録の以下の3カ所にAFFの記載がなければ、ベースラインのAFFなしとした。(1)ベースライン時の心電図検査記録、(2)心不全の原因に関する記録と、指標となった入院の記録、(3)既往歴のページ。新規発症のAFFは、規定の患者報告様式により報告された。この報告がある場合と、事後の感度解析においてAFFに関する有害事象報告が確認された場合に、新規AFFとした。

 対象2737例中、1364例がエプレレノン群、1373例がプラセボ群に割り付けられた。ベースライン時にAFFを認めたのは943例(34%)だった。AFF症例は非AFF症例と比較して、年齢が高く肥満傾向にあり、入院歴が多かった。糖尿病は少なかった。AFFの有無によりEFに差はなかったが、AFF症例の方が心拍数が高く、血清クレアチニン値がやや高かった。ベースラインのAFFで層別化後もランダム化のバランスは保たれていた。

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