日経メディカルのロゴ画像

Thromb Haemost誌から
新規抗凝固薬はワルファリンよりも臨床的利益あり
脳梗塞と出血のバランスを考慮したモデル分析の結果

2012/04/04
西村 多寿子=医療ライター

 心房細動患者の脳卒中予防にダビガトランをはじめとする新規抗凝固薬を使用した場合の、出血リスクを考慮した正味の臨床的利益(net clinical benefit)を、臨床試験結果を用いたモデル分析で予測したところ、脳梗塞出血のリスクがいずれも高い場合、新規抗凝固薬はワルファリンよりも臨床的利益が大きかった。この結果は、Thromb Haemost誌3月1日号に掲載された。

 心房細動患者の脳卒中予防の第1選択薬としてワルファリンを使用すべきか、近年次々と上市されている新規抗凝固薬に変更すべきかという議論がある。ワルファリンについて、「リアルワールド」の集団で臨床的利益を調べた研究はあるが、新規抗凝固薬についてのデータはまだない。

 英国バーミンガム大学の研究者らは、1997~2008年にデンマークの患者レジストリー(Danish National Patient Registry)に登録された非心原性心房細動患者のデータを用い、新規抗凝固薬で予測される臨床的利益を、最近の臨床試験結果に基づいて、脳梗塞と頭蓋内出血のバランスを考慮しながらモデル化し、ワルファリン療法による利益と比較した。

 CHADS2スコアとCHA2-DS2-VAScスコアを用いて脳卒中リスクを層化し、脳梗塞と頭蓋内出血のそれぞれについて、無治療、ワルファリン、新規抗凝固薬による治療を行った場合の、実臨床における予測イベント発生率(100人・年当たり)と95%信頼区間(95%CI)を算出した。

 その結果、脳梗塞については、CHADS2スコアが1のグループでは、無治療群での予測イベント発生率は1.00(95%CI:0.92-1.09)、ワルファリン群では0.50(95%CI:0.46-0.55)、ダビガトラン110mg群では0.46(95%CI:0.42-0.50)、ダビガトラン150mg群では0.33(95%CI:0.3-0.36)、リバーロキサバン群では0.44(95%CI:0.40-0.48)、アピキサバン群では0.40(95%CI:0.36-0.43)だった。

 CHADS2スコアが2以上のグループにおいて、脳梗塞発生を年間1例予防するために必要な治療数(NNT)は、ワルファリンが74だったのに対し、ダビガトラン110mgでは66、ダビガトラン150mgでは52、リバーロキサバンでは60、アピキサバンでは59で、ワルファリンよりも新規抗凝固薬の方が有利だった。

 CHA2-DS2-VAScスコア全体では、無治療群での予測イベント発生率が1.00(95%CI:0.96-1.05)であるのに対し、ワルファリン群では0.53(95%CI:0.51-0.56)でNNTは213だった。新規抗凝固薬3剤の予測イベント発生率は、いずれもワルファリン群より低く、最も低いのはダビガトラン150mg群の0.35(95%CI:0.34-0.37)でNNTは154だった。

この記事を読んでいる人におすすめ