ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬の血糖降下作用は、単剤でのメトホルミンとの比較においても、セカンドラインとしての他剤との比較においても、優位性が認められないことが分かった。欧州で行われたメタ解析の結果で、論文は、3月12日付けのBMJ誌オンライン版に掲載された。
DPP-4阻害薬は比較的新しい経口血糖降下薬として注目されている。しかし、臨床データの少なさやコスト等を理由に、2009年のコンセンサスアルゴリズムにおいては、その位置づけは確立されなかった。
本解析の対象は、成人(18歳以上、妊婦を除く)を対象に、DPP-4阻害薬とメトホルミン単剤、またはメトホルミンと併用するセカンドラインとしてスルホニルウレア(SU薬)・基礎インスリン療法・ピオグリタゾン・グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬のいずれかと比較したランダム化試験で、治療期間が12週間以上、アウトカムとしてHbA1cを報告しているものとした。
Medline、1980年から2011年までのEmbase、Cochrane libraryを用いて検索を行った(最終検索日は2011年3月15日)。2009年と2010年の米国糖尿病学会(ADA)、欧州糖尿病学会(EASD)、米国臨床内分泌学会(AACE)年次総会の抄録について、ハンドサーチを行った。終了後未発表の試験については製薬会社のウェブサイト及び公共の臨床試験登録システムから確認した。
1次アウトカムは血糖降下作用で、ベースラインと最終時点のHbA1cの変化とした。2次アウトカムはHbA1c7%未満を達成した症例の割合、ベースラインと最終時点の体重の差とした。
条件を満たした27試験を、システマティックレビューとメタ解析の対象とした。うち15試験が既報の臨床試験、8試験が既報の延長試験、3試験が未発表の延長試験、1試験が学会の抄録だった。
血糖降下作用に関する解析の対象となった試験のうち、単剤でメトホルミンとDPP-4阻害薬の比較を行ったのは7試験(3237例)で、メトホルミンに追加するセカンドラインの治療薬としてDPP-4阻害薬と他剤の比較を行ったのは10試験(8912例)だった。また、体重変化の解析対象となったのは12試験(9156例)だった。
解析の結果、1次アウトカムとした血糖降下作用は、単剤投与の比較では、DPP-4阻害薬はメトホルミンよりもHbA1c低下が少なかった(加重平均の差:0.20、95%信頼区間[CI]:0.08-0.32、95%予測区間[PI]:-0.14から0.54、I2=60%)。
セカンドラインの治療薬としての比較では、DPP-4阻害薬はSU薬及びGLP-1受容体作動薬よりHbA1c低下が少なかった(それぞれ、加重平均の差:0.07、95%CI:0.03-0.11、95%PI:0.02-0.13、I2=0%、加重平均の差:0.49、95%CI:0.31-0.67、I2=27%)。ただ、ピオグリタゾンとの比較では、HbA1c変化に差は認められなかった(加重平均の差:0.09、95%CI:-0.07から0.24、95%PI:-1.4から1.57、I2=40%)。
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