新世代の薬剤溶出ステント(DES)であるエベロリムス溶出ステント(EES)と、旧世代のDESであるシロリムス溶出ステント(SES)およびパクリタキセル溶出ステント(PES)におけるステント血栓症の発生を比較したところ、留置1年以降に発生する超遅発性ステント血栓症のリスクが、旧世代DESに比べEESにおいて有意に低かった。この結果は、Circulation誌3月6日号に掲載された。
ベアメタルステントと旧世代DESの間では、早期ステント血栓症および遅発性ステント血栓症の発生率に差はないが、超遅発性ステント血栓症は旧世代DES留置患者に多く見られ、5年目までの年間発生率は0.5~0.6%である。
EESは、PESと比較した複数のランダム化比較試験において有効性と安全性の双方で優位性を示した一方、EESとSESは同等との報告がある。だが、超遅発性ステント血栓症に着目し、治療した全患者を対象に長期間追跡した研究はこれまでなかった。
そこでスイス・ベルン大学病院の研究者らは、スイスとオランダの2施設において、異なるステントを用いて実施したPCIの連続症例を対象とし、EESの安全性をSESやPESと比較する前向きコホート研究を行った。
2002年4月~2005年12月にSES(Cypher、Cordis社)またはPES(TAXUS ExpressまたはLiberte、Boston Scientific社)を留置した患者と、2006年11月~2009年3月にEES(XIENCE V、Abbott Vascular社またはPROMUS、Boston Scientific社)を留置した患者を登録した。同一患者に異なるステントが複数留置された場合は、対象から除外した。
ステントの種類にかかわらず、クロピドグレル(初回投与量300~600mg、最低12カ月)とアスピリンを投与した。
1次エンドポイントは、ARC(Academic Research Consortium)基準で評価したステント血栓症(definite ST)とし、最長で4年間追跡した。イベント発生時期により、早期(0~30日)、遅発性(31~360日)、超遅発性(360日超)に分類した。
ステント血栓症の発生率は、各ステント間の追跡期間の違いを考慮し、人・年法で算出した。新世代EESと旧世代のPESおよびSESをそれぞれ比較するため、Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(95%CI)を算出した。
循環器プレミアム:新着文献
Circulation誌から
新世代DESは超遅発性ステント血栓症リスクが低い
エベロリムス溶出ステントと旧世代DES2種の長期予後を比較
2012/03/21
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