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Diabetes Care誌から
メトホルミンはSU薬より服用者の発癌リスクが低い
オランダの大規模コホート試験で明らかに

2012/03/14
岡本 絵理=メディカルライター

 経口血糖降下薬(OGLD)を投与している糖尿病患者のうち、メトホルミン投与患者の発癌リスクが、スルホニル尿素(SU)薬投与患者よりも低いことが分かった。オランダの研究者らによる大規模コホート研究の結果で、論文は、Diabetes Care誌1月号に掲載された。

 メトホルミンは最も広く処方されているOGLDだ。近年、メトホルミンによる発癌リスク低下が複数の研究で確認されているが、その程度にはばらつきがある。そこで著者らは、メトホルミン投与患者とSU薬投与患者の癌罹患を比較する大規模コホート研究を行った。

 解析にはオランダの地域薬局から集めた調剤記録データを使用し、約250万人の退院記録と関連付けた。このうち、1998年1月1日~2008年12月31日に何らかのOGLDまたはインスリンを処方された患者を抽出した。インスリンのみを投与されていた者、メトホルミン(を含むビグアナイド系薬)とSU薬以外のOGLDの投与を開始した者、初回処方時に18歳未満だった者、初回処方時に原発性癌と診断されていた者などは除外した。

 1次アウトカムは癌の初回診断を伴う初回入院とした。すべての癌による入院だけでなく、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、原発性肝癌、膵癌、呼吸器癌、乳癌、前立腺癌といった特定の癌による入院についても解析した。

 Cox比例ハザードモデルを用いて、メトホルミンと癌との関連を解析した。

 解析対象者は8万5289例で、うちメトホルミン投与者は5万2698例、SU薬投与者は3万2591例だった。メトホルミン投与者は年齢が低く、他に使用している薬剤が少なく、OGLD投与開始前年の入院が少ない傾向があった。OGLDの初回投与からの追跡期間もメトホルミン投与者の方がSU薬投与者より短く、服薬順守率はメトホルミン投与者の方が低かった。

 癌による入院は3552例(メトホルミン投与者1590例、SU薬投与者1962例)に発生していた。癌による入院の発生率は、メトホルミン投与者が10.69/1000例・年、SU薬投与者が12.96/1000例・年だった。

 メトホルミンの長期投与に伴う発癌リスクは、SU薬の長期投与に伴う発癌リスクより有意に低かった(OGLD初回処方時の年齢、性別、暦時間、特定薬剤の使用数、OGLD投与開始前年の入院回数で補正したハザード比[HR]:0.90、95%信頼区間[95%CI]:0.88-0.91])。

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