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Circulation誌から
BARC新出血基準の予後予測能はTIMIと同等
PCI後患者の出血は1年死亡率と有意に関連

2012/03/13
西村 多寿子=東京大学

 経皮的冠動脈インターベンションPCI)を実施した冠動脈疾患患者の予後予測に、BARC(Bleeding Academic Research Consortium)が提案する出血性合併症の重症度分類を使用したところ、TIMI (Thrombolysis in Myocardial Infarction)など既存の出血基準と同等の予測能があることが分かった。この結果は2月17日、Circulation誌オンライン版に掲載された。

 抗血栓薬の併用療法は、急性冠症候群やPCIを受ける患者に対する薬物治療の主流になってきている。だが併用療法は、虚血性イベントを減少させる一方、出血リスクを増加させる傾向にある。また抗血栓療法の臨床試験においては、イベント報告数が出血の定義によって大きく左右されることがあり、出血回避の治療方針を立てるためにも正確なアセスメントが求められている。

 BARCのコンセンサス・レポートでは、抗血栓療法中の出血重症度を階層化する形で、出血に関する統一定義を提案した。その定義の適用性について検討の余地はあるものの、既にいくつかの臨床試験ではエンドポイントの評価に使用されている。だが、臨床試験だけでなく実臨床でも広く認められるためには、既存の出血基準と比較し、その妥当性を確認する必要がある。

 そこで、ドイツ・ミュンヘン心臓病センターの研究者らは、PCI後の患者における(1)BARCの基準で判定された出血性合併症と1年死亡率の関係、(2)死亡予測の精度について、BARCの基準が既存の出血基準と比べて優越性があるかを評価する研究を行った。

 2000年6月~2010年2月に、ISAR(Intracoronary Stenting and Antithrombotic Regimen)と名付けられた一連の臨床試験のうち6試験(ISAR-REACTISAR-SWEETISAR-SMARTISAR-REACT-2ISAR-REACT-3ISAR-REACT-3A)に参加しPCIを受けた患者を対象に、患者レベルでのデータ分析(pooled patient-level analysis)を行った。
 
 主要評価項目はPCIから1年間の死亡とした。院内での出血性イベントを3つの基準(TIMI、REPLACE-2[Randomized Evaluation in PCI Linking Angiomax to Reduced Clinical Events]、BARC)を用いて評価した。さらにPCI後30日、6カ月、1年時に診察または電話で状況確認を行った。死亡の情報は、病院記録、死亡証明書、患者の親戚または担当医への電話連絡で確認した。
 
 BARCの重症度分類は0(出血なし)~5(致命的な出血)のクラスに分かれる。クラス1は処置を必要としない出血、クラス2は明らかに出血の徴候があり、非外科的介入、入院または治療レベル向上、迅速な評価を必要とするレベル。クラス3は明らかな出血で輸血を要する場合や頭蓋内出血、クラス4は冠動脈バイパス術(CABG)に関連した出血である。
 

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