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Lancet誌から
心臓由来細胞の冠動脈内注入で心筋再生に成功
6カ月後のMRI所見や6分間歩行距離が改善、LVEFは不変

2012/03/06
難波 寛子=医師

 心筋梗塞MI)後に左室機能障害が認められた患者に対して、責任冠動脈に患者自身の心臓由来細胞(cardiosphere-derived cell:CDC)を注入する治療のフェーズ1試験CADUCEUS(CArdiosphere-Derived aUtologous stem CElls to reverse ventricUlar dySfunction)の結果が、2月12日付のLancet誌オンライン版に掲載された。CDCの冠動脈内注入後、6カ月時点のMRIで、瘢痕組織量の減少とviableな心筋の増加が確認された。ただし、拡張・収縮末期容量、左室駆出率(LVEF)といった心機能については、有意な回復は見られなかった。

 CADUCEUS試験は、米国のCedars-Sinai Heart Instituteとジョンズ・ホプキンス病院で行われた。対象は、4週間以内にMIの既往があり、MI後に左室機能障害(LVEF:25~45%)が確認されている18歳以上の症例で、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)によるステント留置が成功しており、責任動脈のTIMIフローが2以上である者とした。

 除外基準は、余命3年以内、MRIの禁忌、梗塞部位が生検部位となる右室内膜を含む、心臓腫瘍、持続する心室性不整脈の既往、NYHA分類クラスIVの心不全、スクリーニングCT上明らかな腫瘍の存在、とした。

 対象者を2対1の割合でCDC群と対照群にランダムに割り付けた。当初、対照群として盲検化したプラセボ群を提案したが、米食品医薬品局(FDA)により却下されたため、対照群は従来のケアを受けることになった。

 研究開始直後の症例は、少ない細胞量(12.5×106)のCDCを注入する(low-dose CDC)群と対照群に割り付けた。4例のlow-dose CDC群の治療後、National Heart, Lung, and Blood Institute(NHLBI)のGene and Cell Therapy Data and Safety Monitoring Board(DSMB)による安全性評価が行われ、以降の症例には前臨床の段階で最大安全用量と定義された25×106個のCDC(high-dose CDC)を注入することが推奨された。

 CDC群の症例に対しては、心内膜心筋生検を施行。採取した組織からCDCを培養し、細胞量が十分となった時点で注入した。ベースラインのMRI撮像後、梗塞責任動脈の閉塞部位(ステント留置部位)でバルンを拡張し、over-the-wire方式の血管形成用カテーテルを通してCDCを注入した。

 対照群の症例では、MI後の時期がCDC群と一致するタイミングでベースラインのMRIを撮像した。

 全対象者について、CDC群ではCDC注入後2週間および1、2、3、6、12カ月の時点、対照群ではそれらに対応する時点で、経過観察を行った。
 

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