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Circulation誌から
心臓手術前のBNP高値は術後AKIのリスクに
BNP高値例における重度AKIのリスクは低値例の3倍

2012/02/29
岡本 絵理=メディカルライター

 心臓手術後に急性腎障害AKI)発症のリスクが高い患者において、術前に測定した脳性ナトリウム利尿ペプチドBNP)値は術後のAKIの独立した予測因子となることが、米国の前向きコホート研究から示された。結果は、2月9日付のCirculation誌オンライン版に掲載された。
 
 AKIは心臓手術後早期によく見られる合併症だ。BNPやその前駆物質の一部であるN末端プロBNPNTproBNP)の術前評価が、心血管合併症や入院の延長、死亡の予測に有用であることは報告されている。しかし、AKIの予測にも有用であるかについては、まだ明らかではなかった。そこで米国デューク大学の研究者らが、術前のBNP値と術後のAKIとの関連について調べた。

 対象は、2007年7月~2009年12月に6施設で心臓手術(冠動脈バイパス術[CABG]、弁疾患手術)を受けた成人1139例。推計学的に十分なイベント数が得られるよう、AKIリスクが高い患者(血清クレアチニン[Cr]値が2mg/dL超、左室駆出率が35%未満またはグレード3または4の左室機能不全、70歳超、糖尿病、CABGと弁の同時手術、血行再建術の再施行、の1つ以上に該当する患者)を登録した。術前にAKIの所見があった患者、腎移植歴のある患者、術前の血清Cr値が4.5mg/dL超の患者、末期腎疾患患者は除外した。

 手術後の入院中にCr値を毎日測定し、AKIを判定した。Acute Kidney Injury Network(AKIN)の定義でステージ1以上の腎障害(Cr値が0.3mg/dL以上の上昇または50%以上の増加)を軽度以上のAKI、またAKINステージ2以上の腎障害(Cr値が2倍に増加、または急性腎置換療法を要するもの)を重度AKIとした。

 制限つき3次スプライン曲線を用いてBNPとAKIとの関係を評価し、多変量ポアソン回帰を用いてAKIの相対リスク(RR)を算出した。多変量モデルを用いた受信者操作特性(ROC)曲線下面積(AUC)を算出し、AKI症例と非AKI症例の判別能について評価した。

 被験者の平均年齢は72歳(標準偏差[SD]:10)で、68%(776例)が男性だった。手術内容は、CABGのみが48%(548例)、弁手術のみが29%(331例)、同時手術が23%(260例)だった。術前のCr値は1.09±0.34mg/dL、推算糸球体濾過量(eGFR)は67±19 mL/min/1.73 m2だった(平均値±SD)。

 心臓手術後、軽度以上のAKIは36%(407例)、重度AKIは5.1%(58例)に発生した。
 

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