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Lancet誌から
経口抗凝固療法の自己管理は安全に施行可能
大出血の増加なく血栓塞栓症のリスクは軽減

2012/02/17
難波寛子=医師

 経口抗凝固療法中の患者が、プロトロンビン時間国際標準比PT-INR)の自己測定と内服量の自己調節を行うと、血栓塞栓イベントが有意に減少することが、英国オックスフォード大学のグループが行ったメタ解析で分かった。重大な有害事象の増加は確認されず、PT-INRの自己測定と自己用量調節は、適応となる患者を選べば年齢にかかわらず有用な選択肢である可能性が示された。論文は、Lancet誌1月28日号に掲載された。

 解析対象となる試験は、Embase(1980~2009年)とMedline(1966~2009年)のOvid版を用いて、ランダム化比較試験(RCT)に限定して検索した。コクランライブラリ2009年2号のCochrane central resister of controlled trialとCinahl(1982~2009年)でも同様の検索を行った。進行中または未発表の研究はUK National Research Resister and Trial Centralなどのデータベースを用いて検索し、検索された論文の参考文献リストのハンドサーチも行った。
 
 対象は、PT-INRの自己測定または自己測定に基づく抗凝固薬の自己用量調節と医師によるコントロールとを比較したRCT、または血栓塞栓イベントや大出血についての予後が報告されているRCTを対象とした。成人対象の研究であれば、抗凝固療法の適応となった疾患や使用された言語は問わなかった。

 組み入れ基準を満たす全研究の著者と連絡をとり、個々の症例について以下のデータを得た:ランダム化の日付、年齢、抗凝固療法の適応となった疾患名、主治医が専門医か家庭医か、ランダム化時点での患者背景とQOL評価を含む心理社会的背景、割り付けの結果、死亡・初回の大出血・初回の血栓塞栓イベントまでの時間、PT-INRの測定値。

 主要アウトカムは、死亡、初回の大出血、初回の血栓塞栓イベントのそれぞれが発生するまでの時間とした。大出血は、(1)死に至る出血、(2)主要臓器における有症状の出血、(3)ヘモグロビンを2g/dL以上低下させる出血または2パック以上の輸血を要する出血、とした。血栓塞栓イベントは、脳卒中、動脈塞栓症、症候性の深部静脈血栓症、肺塞栓症とした。

 2次アウトカムは、PT-INRが治療域内にあった時間とした。

 検索された1357件の試験の抄録を検討した結果、組み入れ基準を満たしていたのは21件だった。うち10件からは十分なデータが得られなかった。この10件は対象数が50~320例の小規模な研究で、対象の総数は1181例だった。組み入れ基準を満たす21件の対象7598例からこれら1181例を除いた6417例(84%)が、解析の対象となった。

 解析対象となった11件のうち、3件が米国、2件がドイツで行われ、オーストリア、カナダ、デンマーク、オランダ、スペイン、英国で行われた試験が各1件あった。対象症例の登録が行われたのは1992~2006年で、論文が発表されたのは2000~2010年だった。

 PT-INR の自己測定には、Coaguchek(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、Pro time microcoagulation(ITC Nexus Dx社)、Coumatrak monitor(Du Pont Pharmaceutical社)が用いられた。全ての研究に関して、無作為のランダム化のための明確な手順が取られており、intention-to-treat解析が行われていた。出版バイアスは認められなかった。
 

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