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J Am Coll Cardiol誌から
AF ablation時の抗凝固療法、ダビガトランでは?
施行日朝以降の休薬ではワルファリン継続に比べ合併症が高率

2012/02/15
医学記者=山川 里香

 心房細動AF)のアブレーション治療時、アブレーション当日朝以降のダビガトラン中止はワルファリンの継続投与に比べ、出血性および血栓塞栓性合併症の発生率が高いことが分かった。この結果は2月1日、J Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 直接的トロンビン阻害薬であるダビガトランは、米国でも非弁膜症性AF患者の脳卒中予防として承認された。しかし、AFアブレーション周術期のダビガトラン投与に関する情報は少ない。

 そこで米国の研究者は2010年1月~2011年7月、電気生理学的検査件数の多い8施設でアブレーションを行う予定の薬剤抵抗性症候性AF患者を前向きに登録した、系統的多施設観察研究を行った。

 ダビガトラン群はアブレーション前に30日以上、ダビガトラン(150mg×2回/日)が投与されていた連続症例で構成した。ワルファリン継続群は、各施設で同時期にAFアブレーションを受ける予定で、アブレーションの30日以上前からワルファリンが投与されていた同数の患者を、年齢、性別およびAFの種類でマッチングして構成した。

 ダビガトラン群ではアブレーション施行日の朝まで投与を続け、アブレーション後は止血後3時間以内に投与を再開した。ワルファリン群は、投与を一切中止しなかった。

 各群145例で構成されており、平均60歳、79%が男性、57%が発作性AFだった。ベースラインの患者特性、アブレーション時間、透視時間、成功率に群間差はなかった。

 安全性の主要評価項目は、出血性および血栓塞栓性合併症の複合とした。

 両群で合計32例(11%)に出血性および血栓塞栓性合併症が発生した。うち29例(10%)が出血性合併症で、3例(1%)が血栓塞栓性合併症だった。血栓塞栓性合併症3例はすべて、ダビガトラン群の非発作性AF患者に発生していた(P=0.25)。

 大出血(6% vs. 1%、P=0.019)、すべての出血(14% vs. 6%、P=0.031)、出血性および血栓塞栓性合併症の複合(16% vs. 6%、P=0.009)のいずれも、ダビガトラン群の方が有意に高率だった。

 多変量ロジスティック回帰解析を行ったところ、出血性および血栓塞栓性合併症の独立した予測因子は、ダビガトラン投与(オッズ比[OR]:2.76、95%信頼区間[CI]:1.22-6.25、P=0.01)および年齢(75歳超、OR:3.82、95%CI:1.09-13.35、P=0.04)のみだった。

 ワルファリンを中止せずにAFアブレーションを施行しても支障はなく、他の抗凝固療法に比べても出血性合併症は増加しないという知見が増えている。European Heart Rhythm Associationは最近、ワルファリンの継続はヘパリンによるbridgingに匹敵すると発表している。
 

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