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J Am Coll Cardiol Intv誌から
利尿薬+補液でCKD患者の造影剤腎症リスク軽減
冠動脈造影症例を対象としたMYTHOS試験の結果

2012/02/07
難波寛子=医師

 冠動脈造影CAG)や経皮的冠動脈インターベンションPCI)を行う際、フロセミドの投与と尿量に応じた補液を行うことで、造影剤腎症CIN)のリスクが軽減し、予後の改善につながることが明らかになった。MYTHOS(Induced Diuresis With Matched Hydration Compared to Standard Hydration for Contrast Induced Nephropathy Prevention)と名づけられたランダム化比較試験の結果が、J Am Coll Cardiol Intv誌1月号に掲載された。

 CAGやPCIにおいて、CINは頻度の高い合併症であり、予後不良と関連することが報告されている。CINの予防のために生理食塩水の補液や利尿薬の投与が行われるが、CINのハイリスクである慢性腎臓病(CKD)、特に左室機能障害を有する症例では、循環負荷を恐れて必要量の補液を行わないことも多い。

 過去には、PRINCE(Prevention of Radiocontrast Induced Nephropathy Clinical Evaluation)試験において、利尿薬の単回投与と尿量に応じた補液を行うことにより、脱水が予防でき、CINの予防効果も期待できることが示された。

 対象は、2008年9月1日~2011年2月28日にイタリア・ミラノ大学病院で、待機的CAGまたは非ST上昇型急性心筋梗塞(NSTEMI)による入院後24時間以内の緊急CAGを受けた18~85歳のCKD患者とした。造影により適応が確認された患者にはPCIを行った。

 造影の前日(NSTEMI症例では入院時)に、Leveyらの式を用いて推算糸球体濾過量(eGFR)を算出した。eGFRが60mL/min/1.73m2未満の場合、CKDと定義した。

 除外基準は、腎臓への造影剤の直接注射を要する場合、心原性ショック、明らかなうっ血性心不全、急性呼吸不全、最近の腎臓損傷、慢性の腹膜透析または血液透析、フロセミドに対する過敏症の既往、過去10日以内の造影剤投与、今後72時間以内の他の造影剤投与予定、膀胱へのFoleyカテーテル留置の禁忌とした。

 対象患者を、フロセミド投与と尿量に応じた生理食塩水の補液を行う群(frosemide with matched hydration:FMH群)または補液のみ行う群(対照群)に、1対1の割合でランダムに割り付けた。ランダム化は、待機的造影と緊急造影で層別化して行った。

 対照群には、生理食塩水1mL/kg/h(左室駆出率が40%未満の場合0.5mL/kg/h)を、少なくともCAGまたはPCIの前後12時間ずつ、持続して静脈内投与した。

 FMH群では、PLC Medical Systems社のRenalGuardSystemを用いて、尿量とマッチさせた量の生理食塩水をCAGまたはPCIの約90分前から持続静脈内投与した。まず、250mLの生理食塩水を30分かけて静脈内投与した後、0.5mg/kgのフロセミドをボーラス投与。その後、尿の流出速度が300mL/hを超えたところでカテーテル室へ移動してCAGを行った。

 尿量に応じた補液は最終の造影剤投与後4時間まで継続した。治療中に尿量が300mL/h以下となった場合には、累積投与量2.0mg/kgを上限としてフロセミドを追加投与した。

 腎保護薬は投与せず、造影剤は非イオン性低浸透圧造影剤(イオメプロール)を用いた。

 1次エンドポイントは、CAGまたはPCI後72時間以内におけるCINの発生率とした。血清クレアチニンの25%または0.5mg/dL以上の上昇を認めた場合、CIN発生と定義した。

 2次エンドポイントは以下の2点とした。

 (1)CIN予防のための治療に起因する重症合併症

 (2)CAGまたはPCI後の入院中の主要な有害事象。急性の肺水腫、心原性ショック、腎代替療法を要するCIN、臨床的に有意な不整脈、死亡を含む。 
 

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