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JAMA誌から
CABGまでのbridgingとしてcangrelorは有用
DAPT中止後のcangrelor投与を評価したBRIDGE試験の結果

2012/02/01
医学記者=山川 里香

 チエノピリジン系抗血小板薬の中止から冠動脈バイパス術CABG)施行時まで、可逆的血小板P2Y12受容体阻害薬であるcangrelorを静注したところ、十分な血小板活性抑制作用が得られ、大出血率はプラセボと同程度だった。米国で行われたBRIDGE試験の結果で、JAMA誌1月18日号に掲載された。

 急性冠症候群(ACS)や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時の血栓症リスク回避のために、アスピリンと経口P2Y12受容体阻害薬による抗血小板薬併用療法(DAPT)が標準治療となっている。しかし外科手術の際は出血リスクを回避するため、DAPTを中止する必要がある。

 チエノピリジン系薬剤の場合、ガイドラインでは手術の5~7日前に投与を中止するよう推奨している。一方、非チエノピリジン系ATPアナログであるcangrelorは、作用は強力だが可逆的で、発現・消失も迅速である。

 そこで著者らは、チエノピリジン系薬(チクロピジン、クロピドグレル、プラスグレルのいずれか)を投与されていた患者に対し、同薬中止後からCABGを受けるまでのbridgingとしてcangrelorが使用可能かを評価した。

 今回の論文では、用量決定試験と有効性・安全性試験の結果が報告されている。両試験の適格基準は共通で、18歳以上の待機的CABG予定者とした。これらの患者は全例、ACSの治療目的または冠動脈へのステント留置後の血栓症予防目的で、ランダム化の少なくとも72時間前までチエノピリジン系薬を投与されていた。

 用量決定試験は5例を対象とした非盲検試験で、血液サンプルの80%以上において60%超の血小板活性抑制作用が維持される用量として、0.75μg/kg・分に設定された。

 有効性・安全性の評価は、前向きのランダム化二重盲検プラセボ対照試験として行われ、先に決定した用量で術前の血小板活性が240PRU未満(VerifyNow P2Y12で測定)に維持できるかを評価した。

 チエノピリジン系薬中止後にcangrelor静注を開始し、切開の1~6時間前まで継続した。CABG中および術後には、cangrelorは投与しなかった。手術のタイミングは、cangrelor静注後48時間~7日後の間で研究者の裁量とした。アスピリンの投与は各施設のプロトコールによった。

 PRU値が得られていない症例などを除外し、有効性の解析ではcangrelor群84例、プラセボ群84例、安全性の解析ではそれぞれ106例、101例が対象となった。

 投与前の血小板活性(P=0.82)およびPRUが240未満の対象者の割合(P=0.19)に、群間差は見られなかった。

 投与期間(中央値)は、cangrelor群2.8日(四分位範囲[IQR]:2.5-3.8)、プラセボ群3.4日(IQR:2.6-4.7、P=0.046)、投与中止から切開までの時間(中央値)は両群共に3.2時間(IQR:2-5、P=0.82)だった。
 

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