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PLOS Medicine誌から
静脈血栓症による死亡リスク上昇は8年後も持続
DVTとPTとの間に差は認めず

2012/01/27
岡本 絵理=メディカルライター

 静脈血栓症初発患者を長期間追跡した研究から、患者の死亡リスクの上昇は発症から8年後も続いていることが分かった。結果はPLOS Medicine誌オンライン版に1月12日、掲載された。

 静脈血栓症の死亡率はかなり高く、発症から1年以内の死亡率は約20%とされている。しかし、このような死亡率上昇が短期間に限られるのか、それとも長期に及ぶのかについてはよく分かっていない。

 そこでオランダ・ライデン大学の研究者らは、静脈血栓症初発患者を追跡して、死亡リスクを静脈血栓症のない集団と比較した。

 対象は、静脈血栓症の危険因子を調べるための症例対照研究である、MEGA研究の症例および対照コホート。この研究では、1999年3月から2004年9月に、下肢深部静脈血栓症DVT)または肺塞栓症PE)を初めて発症した18~70歳の連続患者4965例と、対照6297例(患者の配偶者3297例および年齢と性別を一致させた3000例)を登録した。

 血栓症との診断から一定期間(中央値1カ月、範囲は13日~64日)を経て患者を組み入れた。

 登録者の生存状態は全住民が登録している地域レジストリーで確認し、死亡診断書の全国データベースから死因(1次死因および2次死因)を入手した。

 Kaplan-Meier法による生命表と生存曲線を用いて8年間の生存状態を推定した。また、標準化死亡率比(SMR、年齢別・性別死亡率が基準集団と同一であると仮定して年齢や性別の分布に基づき予測した死亡数に対する、実際に観察された死亡数の比)を計算し、基準集団に対する相対的総死亡率を推定した。また、追跡期間1年当たりの死亡ハザード比(HR)を算出した。

 追跡期間が30日未満だった者、移住による追跡中止例、追跡不能例を除外し、静脈血栓症初発患者4947例および対照6154例を追跡した。追跡期間の中央値は、静脈血栓症患者が5.5年(1カ月~9.9年)、対照群が4.4年(1カ月~9.1年)だった。

 静脈血栓症患者の601例(12%)、対照群の135例(2%)が死亡した。血栓症後の総死亡率は22.7/1000人・年(95%信頼区間[95%CI]:21.0-24.6)、対照群の総死亡率は4.7/1000人・年(95%CI:4.0-5.6)だった。対照群を基準として算出した静脈血栓症患者のSMRは4.0(95%CI:3.7-4.3)だった。

 サブグループ解析では、悪性腫瘍を併発した静脈血栓症患者の死亡率が最も高く、650例中358例が死亡した。死亡リスクは対照群の17倍だった(SMR:17.2、95%CI:15.5-19.1)。これらの患者の死亡率は、対照群で悪性腫瘍を発症した者と比べた場合でも、依然として高かった(SMR:5.5、95%CI:5.0-6.1)。
 

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