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Arch Intern Med誌から
ダビガトランによりMI・ACSリスクが上昇
RE-LYを含む7件のRCTのメタ解析結果、リスクは約1.3倍

2012/01/23
難波 寛子=医師

 直接トロンビン阻害薬ダビガトランが、心筋梗塞MI)または急性冠症候群ACS)のリスクを3割程度上昇させることが、RE-LY試験を含む7つの無作為比較試験(RCT)を対象としたメタ解析で確認された。Arch Intern Med誌オンライン版に1月9日、論文が掲載された。

 ダビガトランは、2008年に欧州医薬品庁(EMA)により、2010年には米食品医薬品局(FDA)により承認されている。同薬に関連する臨床試験としては最大のRE-LYでは、ダビガトラン群で脳卒中と全身性塞栓症が34%減少するという優れた予防効果が確認された。

 だが同時に、MIのリスク増大(相対危険度[RR]:1.38、95%信頼区間[95%CI]:1.00-1.91、P=0.048)が報告された。しかし、その後に行われた予後と安全性の再検討においては、MIのリスクに有意差は認められなかった(RR:1.27、95%CI:0.94-1.71、P=0.12)。

 著者らは、ダビガトラン内服とMIまたはACSのリスクとの関連を検討する目的で、ダビガトランの安全性と有効性に関するRCTのうち、MIまたはACSを2次アウトカムとして報告している試験を対象にメタ解析を行った。試験の検索はPub Med、Scopus、Web of Scienceを用いて2011年5月に行った。

 1次アウトカムはMIまたはACS(対象とした試験がMIを有害事象として報告していない場合)、2次アウトカムは総死亡とした。ダビガトラン内服症例は、用法用量にかかわらずダビガトラン群とし、対照症例は、用いられた薬剤にかかわらず対照群とした。

 検索により得られた29件のRCTのうち、冠動脈イベントを報告していなかった試験や短期間の薬物動態や用量の増量に関する試験を除外し、7件、計3万514症例を最終的な解析対象とした。

 対象となった7件中、2件は心房細動(AF)患者の脳卒中予防に関する試験(PETRO試験、RE-LY試験)で、ワルファリンとの比較が行われた。1件は急性の静脈血栓塞栓症(VTE)におけるワルファリンとの比較(RE-COVER試験)、1件がACSにおけるプラセボ対照試験(RE-DEEM試験)だった。残る3件は関節置換術後のVTE予防に関する観察期間1カ月以内の試験(RE-NOVATE試験、RE-MODEL試験、RE-NOVATE II試験)で、対照薬にはエノキサパリンが用いられた。

 対象の7試験全てが、ダビガトランの製造元であるBoehringer Ingelheim International社からの資金提供を受けていた。Jadad scaleを用いた評価の結果、6試験が質の高い研究だった。

 RE-LY試験の当初の結果を用いて7件のメタ解析を行った結果、ダビガトラン群は対照群よりもMIまたはACSのリスクが高かった(ダビガトラン群 237例/2万例[1.19%] vs. 対照群 83例/1万514例[0.79%]、オッズ比[OR]:1.33、95%CI:1.03-1.71、P=0.03)。この関連は別の尺度や解析方法を用いても同様だった。研究間での不均一性は低かった。出版バイアスは認められなかった(P=0.60)。

 6件で総死亡が報告されていた。ダビガトラン群は対照群よりも死亡率が有意に低かった(ダビガトラン群 945例/1万9555例[4.83%] vs. 対照群 524例/1万444例[5.02%]、OR:0.89、95%CI:0.80-0.99、P=0.04)。
 

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