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Circulation誌から
SES留置後の有害事象は5年間持続的に発生
わが国で行われたj-Cypherレジストリーの5年成績

2012/01/18
山川 里香=医学記者

 シロリムス溶出ステント(SES)留置症例を登録して長期追跡しているj-Cypherレジストリーの5年成績が論文になった。ステント血栓症(ST)および遠隔期の標的病変再血行再建術TLR)の発生は、5年の追跡でも減衰傾向は見られなかった。STの予知因子は発生時期によって異なったが、TLRの予知因子は経時的に変化しなかった。この結果はCirculation誌オンライン版に2011年12月27日、掲載された。

 これまでの研究から、2~3年後までのTLRの発生は、薬剤溶出ステント(DES)の方がベアメタルステント(BMS)よりも低いことが示されている。しかし、多数のDES留置症例を対象とした長期成績はなく、発生頻度の低いSTに関しては評価が難しかった。

 j-Cypherレジストリー5年成績の検討対象は、2004年8月~2006年11月に1本以上のSES留置を受けた1万2812例(病変:1万9662部位、BMS併用は1456例、SESのみ留置は1万778例)。死亡、ステント血栓症(早期[30日以内、EST]、遅発性[30日超1年以内、LST]、超遅発性[1年超、VLST])、TLRの発生などを追跡した。

 生存者の追跡調査期間(中央値)は1699日(四分位範囲[IQR]:118~1928日)、5年追跡完了率は77%(4301例)だった。

 抗血小板薬療法として、無期限のアスピリン投与(≧81mg/日)および3カ月以上のチエノピリジン系薬投与(チクロピジン200mg/日またはクロピドグレル75mg/日)を推奨した。チエノピリジン系薬の中止期間が2カ月以上に及んだ場合は、脱落と見なした。

 登録患者のベースライン特性はわが国の実臨床を反映したもので、平均年齢68.4±10.3歳、糖尿病合併(41%)、末期腎疾患合併(透析なし:4.9%、透析あり:5.3%)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)既往(46%)、多枝疾患(55%)、多枝ステント留置(28%)、血管内超音波施行(48%)、脳卒中既往(9.5%)、心不全既往(14%)、ステント内再狭窄病変(15%)、慢性完全閉塞病変(12%)などだった。急性冠症候群(ACS)罹患率は比較的低く、25%だった。

 5年目の総死亡の累積発生率は14.4%で、うち47%が心臓死、16%が突然死だった。突然死の年率は、1カ月後から5年後まで一定だった(0.49%/年)。

 ARC分類でdefinite STの累積発生率は低かった(30日目:0.3%、1年目:0.6%、5年目:1.6%)が、発生率に減衰傾向は見られず、5年後も発生していた(0.26%/年)。

 STのイベントは5年間で172件発生し(EST:44件、LST:26件、VLST:102件)、うち151件(88%)が心筋梗塞(MI)に至った。追跡期間中のMI(410例)のうち37%が、STに起因していた。
 

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