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Circulation誌から
高感度心筋トロポニンTの増加は予後不良と関連
慢性心不全患者を対象としたVal-HeFTとGISSI-HFの事後解析

2011/12/26
岡本 絵理=メディカルライター

 慢性心不全患者では、高感度心筋トロポニンThs-cTnT)の循環血中濃度の経時的変化が心不全の重症度や進行と関連しており、強固な予後予測因子となることを、イタリアの研究者らが示した。結果は12月2日、Circulation誌オンライン版に掲載された。

 hs-cTnT濃度は安定した冠動脈疾患や慢性心不全の有害な転帰に対する強力な予測因子だが、その経時的変化を測定すればさらに予後に関する情報が得られると示唆した報告がある。

 そこで著者らは、2つの大規模ランダム化試験の慢性安定心不全患者を対象に、Hs-cTnT濃度の経時的な変化量の測定により予後予測の精度が向上するかどうかを調べた。

 対象は、Valsartan Heart Failure Trial(Val-HeFT)の参加者4053例およびGruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell’Insuggicienza Cardiaca-Heart Failure trial(GISSI-HF)の参加者1231例。

 両試験では、ランダム化時および3カ月後(GISSI-HF)または4カ月後(Val-HeFT)の追跡調査時にHs-cTnTを測定。その他のバイオマーカーとして、N末端プロ脳ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、高感度C反応性蛋白(hs-CRP)も測定していた。

 エンドポイントは、総死亡、心不全による死亡、心血管疾患または心不全による入院とした。

 hs-cTnTの経時的変化に従い、患者をhs-cTnT濃度減少群(相対変化が-15%未満)、hs-cTnT濃度一定群(相対変化が-15%~+15%)、hs-cTnT濃度増加群(相対変化が+15%超)の3群に層別化し、群ごとにエンドポイントのKaplan-Meierプロットを行った。

 hs-cTnTの変化量を対数変換した連続変量とし、Cox比例ハザードモデルを用いてエンドポイントとの関係を解析した。対数目盛1単位当たりのhs-cTnT変化量に対するハザード比[HR]と95%信頼区間[95%CI]を算出した。

 ベースラインのhs-cTnT濃度の中央値(第1四分位数~第3四分位数)は、Val-HeFTが12.5ng/L(5.9~22.4ng/L)、GISSI-HFが17.0ng/L(10.3~27.8ng/L)だった。hs-cTnT相対変化量の中央値(第1四分位数~第3四分位数)は、Val-HeFTが0%(-21~+21%)、GISSI-HFが-4%(-20~+15%)であり、2試験とも同程度だった。

 いずれの試験においても、hs-cTnT濃度の経時的増加は、年齢、糖尿病、腎機能悪化(推算糸球体濾過量[eGFR]低下)、ベースラインのNT-proBNP濃度、NT-proBNP濃度の増加と関連していた。
 

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