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Circulation誌から
QT延長症候群の家族内保因者を簡便に検索するには
安静時と運動負荷後QTcの組み合わせで感度94%、特異度90%

2011/11/18
難波 寛子=医師

 QT延長症候群LQTS)患者の家族内の保因者を、遺伝子検査を用いなくても検索できるアルゴリズムを確立する目的で行われた多施設共同研究の結果が、Circulation誌11月15日号に掲載された。安静時と運動負荷後4分時点での補正QT(QTc)を組み合わせてスクリーニングを行った場合、感度は94%、特異度は90%だった。

 LQTS患者の家族内における保因者の検索は、突然死予防のために重要だ。しかし、無症状保因者の検索には遺伝子検査が必要となることも多く、コストなどの問題が残されていた。QTcが正常またはボーダーラインの場合における運動負荷後心電図の有用性については以前から報告されていたものの、十分な検証が行われていないため、臨床での積極的な使用には至っていなかった。

 本研究の対象は、カナダ、オランダ、およびイスラエルにある5つの大学病院を受診したLQTS患者の1親等の親族で、無症状の者とした。発端者となる患者は全例LQTSの診断基準を満たし(診断スコア4以上)、KCNQ1(LQT1)またはKCNH2(LQT2)の遺伝子をコードするエキソンに原因となる変異が確認されていた。LQT3および他の遺伝子変異については、検討に足る数の家系が得られなかった。

 対象となった親族は、従来の方法で臨床的スクリーニングと遺伝子検査を受け、既報の基準に基づき診断スコアが算出された。5施設のうち、4施設で登録された対象者を、診断に用いる因子を抽出するためのコホートとし、残りの1施設の対象者を、妥当性の検討コホートとした。

 トレッドミルまたは自転車エルゴメトリーによる運動負荷の前後に、12誘導心電図を記録した。施設間での統一のため、QTの測定は以下のタイミングで行った。(1)安静仰臥時、(2)起立直後、(3)最も激しい運動中、(4)運動終了1分後、(5)運動終了4分後。脈拍100/分における運動後のQTの変化(運動中QT-運動後QT)も計算した。QT間隔は12誘導中最も長いQT間隔(通常IIまたはV5誘導で見られる)を用いることとし、3回のQT間隔の平均を解析に用いた。結果に検者間の差はなかった(r2=0.98、P<0.001)。QTcの算出にはBazettの式を用いた。

 26家系69例の対象者が参加した。診断に用いる因子を抽出するためのコホートにおける平均年齢は35±18歳で、62%が女性、QTcの平均は466±39ミリ秒(ms)だった。Shwaltzの基準では、対象者の46%がLQTSである可能性が低く(LQTSスコア1以下)、22%が中等度で(LQTSスコア2~3)、32%で可能性が高かった(LQTSスコア4以上)。遺伝子検査の結果、41%にLQT1、29%にLQT2の変異が認められ、残る30%が非保因者だった。

 安静仰臥時、起立直後、最も激しい運動中、運動終了1分後、運動終了4分後の時点で比較したところ、LQTS保因者では非保因者と比較して脈拍が有意に低かった(P<0.05、β遮断薬の使用と関連なし)。また、QTcはLQTS保因者でどの時点でも有意に高かった(P<0.01、β遮断薬の使用と関連なし)。

 安静時のQTcが異常だった対象者の全例がLQTS保因者だった。だが、LQTS保因者で安静時のQTcが異常だったのは48%にすぎなかった。一方、安静時のQTcが境界値だった対象者の68%、正常範囲だった対象者の42%がLQTS保因者だった。LQTS保因者の52%は、安静時のQTcが正常または境界値を示していた。T波の質的異常は対象者の36%で認められたが、LQTS保因者のうちT波異常が認められたのは48%にすぎなかった。これらより、LQTSスクリーニングの最初のアルゴリズムとして安静仰臥時のQTcを選択した。

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