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JAMA誌から
早期ステント血栓症のリスクを規定する因子
CYP2C19などの遺伝的要因と臨床特性の統合で予測精度向上

2011/11/03
山川 里香=医学記者

 留置後30日以内に発症する早期ステント血栓症の要因を、臨床、血管造影、遺伝の面から包括的に検討したところ、CYP2C19、ABCB1、ITGB3の3つの遺伝子変異の関与が有意となる一方、修正可能な要因はクロピドグレルの初回投与量とPPI併用の2点のみだった。これらの患者要因を包括的に組み入れたモデルを用いることで、発症の予測精度は向上した。この結果は、JAMA誌10月26日号に掲載された。

 クロピドグレル服用中の血小板反応性亢進の原因として、薬物代謝酵素である肝チトクロームP450 2C19(CYP2C19)の機能喪失型変異が特定されているが、他の遺伝子とステント血栓症との関連性は、依然として明らかになっていない。

 そこでフランスの研究グループが症例対照研究において、過去に候補とされた全ての遺伝子変異、臨床因子および血管造影因子を検証し、早期ステント血栓症(30日以内)に対する相対的寄与度を判定した。

 2007年1月~2010年5月、参加10施設で施行された経皮的冠動脈インターベンション(PCI)症例(約1万8500例)中、ステント血栓症を発症した患者を登録したフランス全国規模のレジストリー「ONASSIST」を利用した。

 この中から、18歳以上で血管造影により確認されたステント血栓症症例で、抗血小板薬併用療法(DAPT)を受けていた123例(急性9例、亜急性114例)を登録した。大多数が白人だった。

 除外基準は、抗血小板薬単剤療法を受けていた患者、および発症前14日以内にDAPTを3日以上、一部または完全に中止していた者とした。

 ステント血栓症1例に対し、年齢と性別でマッチングさせた対照2例を採用した。

 主要転帰尺度は、15の遺伝子における23の遺伝子変異が、早期ステント血栓症を予測する精度とした。

 ベースラインの患者の臨床特性に関しては、ステント血栓症症例群(以下、ST群)の方が、糖尿病合併率、左室機能障害率、複雑病変率(ACC/AHAタイプC)、急性冠症候群発生率、PPI併用率が高く、高コレステロール血症合併率およびクロピドグレル初回投与量は低かった。

 多変量ロジスティック回帰分析の結果、遺伝以外の独立した発症要因は、PCIの緊急性(調整後OR:3.05、95%信頼区間[95%CI]:1.54-6.07)、複雑病変(調整後OR:2.33、95%CI:1.40-3.89)、左室駆出率40%未満(調整後OR:2.25、95%CI:1.09- 4.70)、糖尿病(調整後OR:1.82、95%CI:1.02-3.24)、PPI併用(調整後OR:2.19、95%CI:1.29-3.75)、クロピドグレル初回高用量投与(調整後OR:0.73、95%CI:0.57-0.93)だった。

 ST群では、保因しているリスクアレル数が多いほど、実際のリスクも漸増していた。
 

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