日経メディカルのロゴ画像

Circulation誌から
HDL-Cのみ低値のアジア人はCHD高リスク
LDL-CとTGは正常、アジア人の2割がこのタイプ

2011/10/31
岡本 絵理=メディカルライター

 低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)および中性脂肪(TG)値は正常だが高比重リポ蛋白コレステロールHDL-C)値だけが低い、単独HDL-C低値型脂質異常症アジアに多く、冠動脈疾患CHD)リスクの上昇と関連していることが、2つの大規模共同研究を統合したメタ解析から明らかとなった。結果はCirculation誌オンライン版に10月10日、掲載された。

 単独HDL-C低値型は新しい脂質異常症の1つと見なすことができ、CHDとの関連が示唆されている。また、単独HDL-C低値型の有病率は、国や民族によって大きく異なる。そこでオーストラリアをはじめとする各国の研究者らは、単独HDL-C低値型のアジアでの有病率を調査し、併せてCHDおよび脳卒中のリスクとの関連を調べた。

 対象は、2つの大規模共同研究(Asia Pacific Cohort Studies Collaboration[APCSC]およびObesity in Asia Collaboration[OAC])の登録者。脂質に関する情報のない登録者は除外した。APCSCでは24試験の6万9145例、OACでは13試験の15万915例が条件を満たし、合計22万60例のデータを解析した。

 中国、香港、インド、日本、韓国、フィリピン、シンガポール、台湾、タイからの登録者はアジア人に分類し、オーストラリア、ニュージーランドからの登録者は非アジア人に分類した。

 米国コレステロール教育プログラム(NCEP-ATPIII)のガイドラインに基づき、HDL-C低値(男性1.03 mmol/L未満、女性1.30 mmol/L未満)、LDL-C高値(4.14 mmol/L以上)、TG高値(2.26 mmol/L超)の人を特定した。

 これに基づき、今回の解析対象者を、HDL-C正常値型、単独HDL-C低値型、非単独HDL-C低値型(LDL-CまたはTGの高値を伴うHDL-C低値)の3群に分類し、予後を比較した。また、Cox比例ハザードモデルを用い、CHDおよび脳卒中のハザード比(HR)を算出した。

 全対象者中、19万1317例(87%)がアジア人だった。そのうち6万3316例(33%)がHDL-C低値であり、その3分の2が単独HDL-C低値型だった(アジア人全体の22%)。一方、非アジア人は2万8743例で、7754例(27%)がHDL-C低値だった。このうち単独HDL-C低値型は4021例(非アジア人全体の14%)であり、非アジア人よりアジア人の方が単独HDL-C低値型の占める割合が高かった。

 追跡期間の中央値は6.8年。この間にCHDは574件(うち42%がアジア人)、脳卒中は739件(76%がアジア人)発生した。

 APCSCの登録者6万1945例のデータを使ってCHDについて補正を行ったところ、単独HDL-C低値型における有意なCHDのリスク上昇は見られなかった(HR:1.17、95%信頼区間[95%CI]:0.95-1.46)。一方、非単独HDL-C低値型の患者のCHDリスクは、HDL-C正常値型と比較して約60%上昇していた(HR:1.57、95%CI:1.31-1.87)。
 

この記事を読んでいる人におすすめ