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Circulation誌から
130/80未満への厳格血圧管理、心保護には寄与せず
脳卒中と腎保護には有効、ONTARGET試験のデータを解析

2011/10/19
西村 多寿子=東京大学

 心血管リスクの高い患者を対象に行われた大規模臨床試験のデータを利用して、追跡期間中の受診時血圧が管理目標に達した比率とエンドポイント発生との関連を調べたところ、脳卒中と腎機能悪化については、目標達成率が高いほどイベント発生は少ない傾向が認められたが、心筋梗塞心不全については有意な傾向はなかった。この結果は9月26日、Circulation誌オンライン版に発表された。

 高血圧治療のガイドラインでは、一般高血圧患者の降圧目標は140/90mmHg未満とし、心血管リスクの高い患者には130/80mmHg未満を推奨している。だが、これらの降圧目標の科学的根拠を疑問視する声もある。ONTARGET(Ongoing Telmisartan Alone and in Combination With Ramipril Global End Point Trial)試験のpost-hoc解析では、初回血圧が高値の場合は、降圧と心血管リスクの減少は関連していたものの、正常範囲もしくは正常高値の場合、その利益は明確でなかった。

 そこで本研究は、この問題に関する追加情報を提供するため、同試験のデータベースを用いて、受診時血圧の管理目標達成率に着目した解析を行った。

 対象は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)テルミサルタンとACE阻害薬ramiprilの併用またはいずれかの単剤投与を受け、エンドポイント発生までに7回以上の受診回数があった患者とした。目標達成率で4群(25%未満、25~49%、50~74%、75%以上)に分けた。

 主要エンドポイントは、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、うっ血性心不全による入院の複合とした。2次エンドポイントは、主要エンドポイントの各項目、心不全を除く3項目の複合、末期腎不全(透析開始、腎移植)、血清クレアチニン値の2倍増、微量アルブミン尿、顕性アルブミン尿などとした。

 ベースラインの収縮期血圧(SBP)が140mmHg以上で、受診時血圧140/90mmHg未満の達成率が25%未満だった患者は2973例、25~49%は3394例、50~74%は3359例、75%以上は2828例だった。ベースラインの平均SBPは、25%未満群が156.4mmHgで4群中最も高く、75%以上群は149.5mmHgで4群中最低だった。

 年齢、拡張期血圧、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)、心拍数、血清クレアチニンは4群間でほぼ同等だった。75%以上群は、他の3群に比べて男性比率が高く(77.2%)、心筋梗塞既往が多かった(51.3%)。一方、25%未満群は血糖値が高く(126.4mg/dL)、糖尿病既往(47.4%)が多かった。
 

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