心不全(HF)専門外来クリニックで適切な薬物治療を受けたHF患者を対象として心房細動(AF)の併発と死亡リスクの関係を調べた結果、両者に関連は認められないことが示された。この結果は、Clin Cardiol誌7月27日号オンライン版に掲載された。
現在、HFとAFの両方に罹患している人口比率は1%超と推定されており、今後も高齢化に伴って増加すると予測されている。HFとAFの併発と死亡リスク上昇が関連している可能性も指摘されている。
一方、この10年で特にACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬による薬物治療が進歩したため、HF患者の症状が軽減し、死亡リスクも低下している。
現在のところ、AFの併発が、HF患者の死亡リスク上昇に影響を及ぼすかは分かっていない。そこでノルウェーの研究者は、HF専門外来クリニックで適切な薬物治療を受けているHF患者の大規模レジストリーにおいて、AFの併発が死亡率に及ぼす影響を調査した。
対象は、欧州心臓病学会のガイドラインに従ってHFと診断された男女で、2000年10月~2008年2月の期間に24施設から登録された。最終的に試験の対象となったのは、AF群(1391例)と洞調律群(2657例)の合計4048例で、追跡期間中央値は28カ月だった(0~93カ月)。
初回診察時に、関連のあるすべての病歴、理学的検査データ、12誘導心電図、血液生化学検査結果、薬物治療などの管理レジメンをレジストリー・データベースに記録し、洞調律群またはAF群に分類した。
t検定とχ2検定を用いて、両群のベースライン特性を比較し、Kaplan-Meier生存曲線を作成して、AFが死亡リスクに及ぼす影響を表した。連続型変数を四分位に区分し、生存率に関する線形性を評価した。単変量Cox回帰解析でAFなどの変数が生存に及ぼす影響を調べ、その後、AFと死亡リスクの両方に関連がありP値が<0.1の変数を含めたCox回帰モデルを用いて、多変量解析を行った。
さらに、対象者をNYHA機能クラスI/II群とクラスIII/IV群に分けて、すべての交絡因子に関してサブグループ解析を行った。
循環器プレミアム:新着文献
Clin Cardiol誌から
適切な治療下ではAFは心不全の死亡リスクにならず
ノルウェーの心不全専門クリニックにおけるレジストリー研究
2011/08/26
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