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Circulation誌から
80歳超でもワルファリンによる出血リスクは増加せず
専門施設での管理により高齢者にも安全に投与可能

2011/08/25
難波 寛子=医師

 80歳以上の超高齢者に対してワルファリンを用いた経口抗凝固療法を行っても、出血リスクは増加せず、年齢そのものは治療の禁忌とならないことが示された。この結果は、Circulation誌8月16日号に掲載された。

 静脈血栓症VTE)の2次予防および心房細動AF)症例の血栓症予防には、ワルファリンを用いた経口抗凝固療法の有効性が確立されている。VTEとAFの発生は年齢とともに上昇するため、経口抗凝固療法の適応となる高齢者も多いものの、通常、臨床試験の対象とならない超高齢者において、ワルファリンの出血リスクに関するデータは得られていなかった。

 今回、初回または再発のAFもしくはVTE後の血栓症予防のため、80歳以降にワルファリン内服を開始した症例を対象に、多施設共同前向き試験が行われた。同試験に参加したのは、イタリアのItalian Federation of Anticoagulation Clinics(FCSA)に加盟する27施設だった。

 ワルファリンのコントロールは全例で国際標準比(INR)2.0から3.0を目標とし、2~4週ごとに経過観察を行った。2カ月以上経過観察を受けなかった患者には、本人・家族、またはかかりつけ医を通じて連絡を取り、経過観察中断の理由を記録した。死亡の場合は、死因に関してさらに情報を収集した。

 同試験の主要エンドポイントは初回の大出血とした。大出血の定義は、致死的出血、頭蓋内出血(画像で記録されたもの)、失明に至る眼窩出血、関節内出血、後腹膜出血、止血目的での手術や侵襲的な手技を要する出血、2単位以上の輸血を要する出血、ヘモグロビン2g/dL以上の低下を伴う出血とした。大出血でない出血は、すべて小出血に分類した。

 INRは、測定がイベント発生時または8日以内だった場合に、有害事象と関連があるとした。

 対象となった4093例中1762例(43%)が男性だった。観察期間の合計は9603人・年で、観察開始時の年齢の中央値は84歳だった(幅:80-102歳)。家族と同居が大多数(2831/3651例、77.5%)で、独居が14.6%(532/3651例)、施設入所中が7.9%(288/3651例)だった。全例が併用薬を内服していた(平均4.4±2.2剤)。腎不全(血清クレアチニン1.5mg/dL以上)は、12.1%(385/3172例)で認められた。

 観察期間中に385例が死亡した(総死亡率:4.0/100人・年)。26例(6.8%)が出血性合併症、112例(29.1%)が心血管疾患、34例(8.8%)が突然死、145例(37.7%)がワルファリンに関連しない他の疾患による死亡だった。
 

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