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J Am Coll Cardiol誌から
プラスグレルでも血小板活性高値はMACEのリスク
予後の改善には反応性モニタリングが必要か

2011/08/11
難波 寛子=医師

 急性冠症候群(ACS)で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が適用され抗血小板薬プラスグレルを使用している症例において、血小板活性(PR)と主要心血管イベント(MACE)発生の関連を調べたところ、約4分の1の症例でPRが高く、この症例ではPCI後MACEのリスクが高いことが明らかになった。この結果は、J Am Coll Cardiol誌7月26日号に発表された。

 プラスグレルは、クロピドグレルよりも迅速で強いP2Y12-アデノシン2リン酸(ADP)受容体拮抗作用を持つことで知られている。TRITON-TIMI 38試験の結果、PCIが適用されるACSにおいて、標準的抗血栓療法に用いられるクロピドグレルよりもプラスグレルの方が有効性が高いことが確認された。

 一方で、2009年に発表されたTRITON-TIMI 38のサブ解析から、プラスグレル投与中に血小板活性高値(high on treatment platelet reactivity:HTPR)を示す症例が比較的高い割合で存在することが明らかになった。

 そこで今回、プラスグレル使用例におけるPR阻害とMACE発生の関連を解析した。
 
 対象はPCIが成功したACS患者でプラスグレル治療を受けている症例。PCI後にワルファリンなどの抗凝固療法を受けている患者などは除外した。

 301例の対象患者のうち267例(88.7%)が男性で、平均年齢は58.1±10.4歳、糖尿病の有病率は23.3%。全例がACS患者で、42.5%がST上昇型MIだった。

 PR阻害の評価は、最も特異的な測定法であるVASP(vasodilator-stimulated phospho-protein)により行った。プラスグレル初期量投与の6~12時間後に肘の静脈より採血し、採血から24時間以内に熟練した術者により「Platelet VASPキット」(Diagnostica Stago社製)を用いてVASP指数を測定した。

 PCIは国際ガイドラインに従って標準的術式を用いて行われ、ステント留置は全例で成功。フランス心臓学会のガイドラインに従い、薬剤溶出ステントまたはベアメタルステントを使用した。術前後には全例で通常のケアを行った。VASP指数測定の少なくとも6時間前からプラスグレル(初期量60mg)の前投薬を実施、以降10mg/日を1年以上継続投与した。加えて、ステント留置の12時間前またはST上昇型心筋梗塞(MI)症例ではPCI施行時にアスピリンを初期量250~500mgで投与し、以降75mg/日の投与を1年以上行った。入院中と1カ月の受診時に、アスピリンとプラスグレルのコンプライアンスを確認した。

 PCIの失敗は、ステント留置後残存狭窄30%未満を達成できなかった場合かつ/またはPCI後TIMI(Thrombolysis In Myocardial Infarction)がグレード3未満の場合とした。

 1次エンドポイントは1カ月の時点での心臓血管(CV)死、非致死的心筋梗塞(MI)、ステント塞栓症の複合エンドポイントとした。2次エンドポイントは、1カ月の時点でのCABGに関連しない大小の後期TIMI出血とした。

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