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BMJ誌から
低用量アスピリンの中断でMIリスクが有意上昇
英国のプライマリケア約4万例を対象とした解析研究の結果

2011/08/10
山川 里香=医学記者

 低用量アスピリンの中断が冠動脈疾患による死亡と非致死的心筋梗塞(MI)のリスクに及ぼす影響を調査した結果、中断の期間にかかわらず、複合リスクは有意に上昇することが明らかになった。スペインとスウェーデンの研究者が英国の全国規模のデータネットワークを用いて心血管イベント既往者について調べた結果で、BMJ誌7月22日号に掲載された。

 低用量アスピリンには心保護効果があることが、強力なエビデンスにより裏付けられているが、数年間この薬剤を服用している患者の中断率は約50%と報告されている。これまでの研究から、(1)経口抗血小板薬の中断は急性冠症候群(ACS)後の死亡増加の独立した予測因子である、(2)アスピリン中断後4週間以内に一過性虚血性発作リスクが上昇する、(3)ACS患者では、低用量アスピリン中断後、平均10日でACSイベントが発生する、(4)低用量アスピリン中断により、心血管有害事象リスクが3倍に上昇する――などが明らかになっている。ただし、これらの研究はすべて2次医療に関して行われたものだった。

 今回の研究では、1次医療における心血管疾患既往者を対象とし、冠動脈疾患による死亡と心筋梗塞のリスクを、それぞれ単独リスクおよび複合リスクとして評価した。

 データソースとして用いたThe Health Improvement Networkは、コンピューター化された医学研究データベースで、英国で1次医療の診療を受けた患者300万人超に関するデータが系統的に記録されている。英国では、ほぼすべての住民がかかりつけ医に登録しており、かかりつけ医がルーチンにデータを記録するため、このネットワークは年齢、性別、地域的分布の点で英国住民を代表しているといえる。

 対象者は、2000年1月1日~2007年12月31日に、心血管イベントまたは脳血管イベント(不安定/安定狭心症、虚血性心疾患、心筋梗塞、脳血管疾患、脳卒中、一過性虚血性発作の診断)に対する2次予防として、低用量アスピリン(75~300mg/日)の初回処方を受けた50~84歳の患者とした。

 最終的なコホート3万9513例の平均追跡期間は3.2年(1.0日~8.0年、標準偏差2.2)だった。この同一集団から、年齢、性別、暦年をマッチングさせた5000例をランダムに抽出し、対照群とした。

 服用中断者の定義は、最後の処方箋発行後30日超が経過した者とし、さらに短期中断者(最後の処方が指標日の31~180日前に終了)、長期中断者(最後の処方が指標日の181~365日前に終了)の2つに分類した。

 非致死的心筋梗塞と冠動脈疾患による死亡の発生率を算出し、無条件ロジスティック回帰を用いてコホート内症例対照解析を行い、オッズ比(発生率比の不偏推定値)を推定した。

 年齢、性別、暦年、イベント発生までの期間、喫煙状況、(開始日の)虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患などで調整し、さらに性別と年齢で層別化した。尤度比検定と感度解析も行った。
 

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