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JAMA誌から
たこつぼ心筋症の診断には心臓MRIが有用
意外に多い男性や若年症例、欧米における前向き研究の結果

2011/08/03
難波 寛子=医師

 ストレス心筋症は「たこつぼ心筋症」としてわが国から報告された急性で可逆性の重症左室機能不全であり、重大な冠動脈疾患を伴わず、感情的・身体的ストレスを契機に発症することを特徴とする。その臨床的特徴については単施設から様々な報告があるが多施設共同研究は行われておらず、入院時の迅速な診断基準も確立していない。

 本疾患の臨床的特徴と進展を定義し、心臓MRIによる診断基準を確立する目的で行われた多施設共同研究から、たこつぼ心筋症の臨床像は従来の報告よりも幅広く、診断には心臓MRIが有用なことが分かった。詳細はJAMA誌7月20日号に掲載された。

 本研究は、欧米7施設で2005年1月~2010年10月に行われた前向き研究である。対象はすべて研究参加施設の患者で、初回入院時から本研究に登録された。急性の症状出現時、禁忌のない限り全例に、心電図、経食道エコー、血液生化学、冠動脈造影、心室造影、心臓MRIの各検査を行った。

 たこつぼ心筋症との診断は、以下の条件を満たすことと定義した。
(1)典型的には、胸痛および/または呼吸困難を特徴とする急性の心臓のイベント
(2)左室の著明な収縮不全を伴う一過性の収縮期機能障害。1冠動脈の灌流領域を超えて広がるもの
(3)50%以上の閉塞を伴う閉塞性冠動脈疾患や、冠動脈造影で急性のプラーク破綻がない
(4)新規の心電図異常(ST上昇またはT波陰転)または心筋トロポニンの軽度上昇
(5)褐色細胞腫ではない
(6)心筋炎または心臓MRI上で典型的な虚血性の貫壁性遅延造影がない

 急性イベントの1~6カ月後、本症疑い症例に対して診断確定のため、心電図、血液生化学、心臓MRIを行った。確認の心臓MRIを受けなかった81例(34%)は、左室機能障害の完全な回復を確認するために心エコーを行った。死亡が確認された患者は、経過観察を終了したとして解析に含めた。

 期間中に診断基準を満たした256例を解析対象とした。うち239例(93%)に心臓MRIが行われた。全例で診断確認(左室機能障害の完全な回復確認)のための経過観察を行った。158例(62%)が、経過観察時に心臓MRIを受けた。

 対象症例の年齢は平均69歳(標準偏差[SD]:12、幅:30~90歳)、89%(227例)が女性で、81%(207例)が閉経後(51歳以上)、8%(20例)が50歳以下だった。男性は11%(29例)だった。男性と女性で年齢分布に差はなかった。

 発症時、225例(88%)が急性冠症候群(ACS)類似の症状を呈した。他の症状としては9例(4%)が失神、3例(1%)が心停止だった。残る7%は、非心臓疾患で観察中にACSが疑われた19例(7%)だった。

 発症48時間以内のストレスのかかるイベントは182例(71%)で確認された。感情的ストレスが77例(30%)、身体的ストレスが105例(41%)だった。
 

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