心血管疾患患者における骨折リスクに関する研究は過去に存在するものの、心筋梗塞(MI)と骨折の関連については検討されておらず、その関連は不明だった。今回米国で行われたコホート研究から、MI後の患者は対照と比較して骨粗鬆症による骨折のリスクが高いことが分かった。しかも骨折リスクは過去30年間、持続して上昇していた。この結果はCirculation誌オンライン版に6月27日、発表された。
本研究は米国ミネソタ州オルムステッド郡の住民を対象に、The Rochester Epidemiology Projectの記録システムを用いて行った。同郡の住民はほぼ全員がこのシステムに登録されているので、このシステムは数十年間にわたり実質的に本研究の母集団の完全なデータベースとなっている。
MI群は、1979~2006年にMIを発症した連続3321症例とした。
対照群は、年齢(±3歳)、性別、発症年をMI群の症例と1対1でマッチさせ、同郡の住民の中からランダムに選択した。対照の候補者は、対応するMI群の症例がMIを発症した年に何らかの医療行為を必要としたことを確認した上で、カルテ登録番号が最も近い者を登録した。MIの既往がある場合は除外した。
全対象について、地域内のカルテすべて(入院と外来)を、発症から死亡または2009年7月以前の最新の受診までフォローアップした。
個々の対象のカルテについて、主訴だけでなく期間中の全診断を含む包括的な診断および外科的記録を用いて、骨折の発生を検索した。骨折は解剖学的部位により、大腿骨近位、脊椎、前腕遠位、上腕に分類した。
死亡確認には、オルムステッド郡の死亡証明、解剖記録、新聞の死亡記事、ミネソタ州保健局生存統計の電子死亡証明など複数の情報源を用いた。
期間中およびそれ以前の診断名を用いて、Charlson指数を算出した。Charlson指数は死亡につながる程度によって重み付けされた(それぞれ1、2、3または6ポイント)、19の合併症から成る。
MI群3321例(ベースラインの平均年齢67.4歳、標準偏差[SD]:14.2歳、43%が女性)、対照群3321例の合計6642例を対象とした。平均して、MI群は対照群よりも合併症が多かったが、過去の骨粗鬆症による骨折の既往に差はなかった。
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