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Lancet誌から
全世界の糖尿病患者は2008年で約3億5000万人
1980年の約1億5000万人から2倍以上の増加

2011/07/26
山川 里香=医学記者

 世界中の全ての国と地域の平均空腹時血糖(FPG)と糖尿病有病率を推定する初の試みが、Bill & Melinda Gates FoundationとWHOの共同資金援助の下でなされた。年齢で標準化した2008年の糖尿病有病率は男性9.8%・女性9.2%で、男性1億7300万人・女性1億7300万人が糖尿病に罹患していると推定された。この結果は、Lancet誌2011年7月2日号に掲載された。

 高血糖と糖尿病の世界的パターンに関する研究は過去にも行われているが、地域間で大幅なばらつきがあること、糖尿病の定義が経時的に変化していること、ボリュームが異なる国・地方・地域のデータが混在していること、血糖値測定法や対象者が異なっていることなどの問題があるにもかかわらず、適切な調整を行っていなかった。

 そこで、WHOと米・英・韓の研究者から成る研究グループは、こうした問題に対処するため、統計的手法を用いて傾向を推定し、国と地域ごとの不確実性を関連付けて系統的レビューを行った。

 主要評価項目を平均FPG、副次評価項目を糖尿病有病率とした。糖尿病の定義は米国糖尿病学会(ADA)のものを用い、FPG 7.0mmol/L以上、診断を受けている場合または血糖降下薬を服用している場合とした。

 平均FPGを次の3段階で解析した。(1)データ源の特定、データの評価と抽出、(2)FPG以外の方法で報告されたデータの変換、(3)統計モデルを適用し、国別、性別の平均FPGの傾向を推定。さらに、サンプリング誤差と上記(2)と(3)における統計モデルの不確実性を加味し、統計推定値の不確実性を解析した。

 WHO Global InfoBaseを通じて多施設研究、健康診断調査、疫学的研究を特定し、今回のデータ源とした。既知の糖尿病または自己申告のみに基づいているデータは、未診断の可能性があるため除外した。

 今回の目的は、データが欠如している国のFPGの予測精度、最近のデータが欠如している国の最近のFPGの予測精度、断続的なデータを有する国のギャップを埋める精度を評価することだった。

 最終的なデータセットでは、370カ国・年、25歳以上の被験者270万人を対象とした。対象とした研究のうち、71%ではFPGを用いていたが、他の研究では食後血糖またはHbA1cを用いていた。92カ国では、地域住民ベースのデータを全く特定することができなかった。全データの29%が全国調査、19%が地方調査、52%が地域(コミュニティー)調査から得られていた。

 年齢で標準化した2008年の世界の平均FPGは、男性では5.50 mmol/L(95%不確実性区間[95% uncertainty interval、95%UI]:5.37-5.63)、女性では5.42 mmol/L(95%UI:5.29-5.54)で、1980年以降の10年当たりの上昇は、男性では0.07 mmol/L(95%UI:-0.02~0.15)、女性では0.09 mmol/L(95%UI:0.00-0.17)だった。
 

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